電気グルーヴ
過去の事を思い出しながら書いていくのは時間がかかりそうだから、
また、直近の話をさせて下さい。
2024年夏。
私はNetflixドラマ「地面師たち」にハマった。
ドラマの内容も然ることながら、劇中音楽を手がけている電気グルーヴの石野卓球さんの音楽がとても素晴らしいのだ。
ドラマに没入していると、自然とマッチしている音楽だが、
改めてSNSなどで流れてくる地面師のコメディ動画等が突然流れてくると、
そのBGMがとても個性的で、異彩を放っている事に気がつく。
私は、石野卓球さんも、電気グルーヴも全く知らなかった。
私はさくらももこの「コジコジ」が大好きなので、EDテーマの曲だけ知っていた。
電気グルーヴの大ヒット曲「Shangri-La」なんて、ギターリストのMIYAVIがカヴァーしていた事で、私は10年近くMIYAVIの曲だと思い込んでいた。
この夏に、電気グルーヴの曲だと改めて知れたわけだ。
(さらにこの曲には元ネタがあり、70年代の楽曲「Spring Rain」をサンプリングした物らしい。)
そんな「電気グルーヴ」超初心者の私だが、
この夏、熱心に楽曲を聴きまくり、サブスクで聴ける楽曲は全て聴いた。
10個上の友人に電気グルーヴのファンがいるので、色々教えてもらい盛り上がれるくらいにはなっていた。
私は、とてつもなく電気グルーヴのライブに行きたくなった。
「生で電気グルーヴを観たい…!」
この夏私が一番発した言葉だと思う。
そうすると、この夏にあるではないか。
電気グルーヴ35周年ライブが。自分の住んでいる地域でも!
・・・しかし私はこの夏、ライブに行けるようなお金など持ち合わせていなかった。
どのくらい持ち合わせていないかというと、
家の水道が止まり、Wi-Fiが止まり、娯楽を全て奪われ、
帰宅しても手が洗えず、トイレは近くのコンビニやカフェに駆け込まなければならない。そんな状態である。
まだ売れていない芸術家というのは、こんなもんである。
3つ掛け持ちしているアルバイトとタイミーを駆使して、
私はどうにか電気グルーヴのライブに行こうとした。
しかしなかなか、支払いが追いつかなかった。
9月から新しくはじめたバイトの中に、
子供達に絵を教えるお絵かき教室のお手伝いというのがあるのだが、
子供たちが帰った後の教室で、片付けの時間中、
私はスピーカーから爆音で電気グルーヴの「モノノケダンス」を流した。
テンションを上げるにはこの曲が最高だ。
すると、同じアルバイトで来ていた美大生の10歳年下の男の子が、
「俺、来週電気のライヴ行きますよ。」と言って来た。
もう、本当に眩しかった。
私が「そうなりたい」姿を、目の前の青年が体現している。羨ましくて後光が差していた。
私は非常に興奮し、お互い口数は少ない者同士ではあったが、
10歳年下のバイトの青年とインスタを交換した。音楽が繋げてくれた縁である。
私に電気グルーヴを教えてくれた友人は10歳年上だし、
この青年は10歳年下だし、世代を超えて愛されている電気グルーヴ、凄すぎる。
そしてその青年と一緒にネットの情報を見ていると、
どうやら35周年ライヴのチケットは完売したようだった。
私は行ける手立ても無いのに、非常に残念だった。
行けるかわからないけど、電気グルーヴを想ってバイトを増やして頑張っていた事に気づく。
しかし、私は次の日からも、
その頑張る癖みたいなのが抜けずに、何故か電気グルーヴの為にバイトを頑張っていた。そして、働きすぎて翌週に体が動かなくなったのである。
1週間も会社の仕事を休んでしまう事になり、収入的に頑張った意味がなくなってしまった。
私の体がバラバラになりかけていた間、
電気グルーヴ35周年ライヴの追加公演が1日だけ決まったのだ。
私は、希望の光が見えたという抽象的な気持ちではなく、
頭がおかしいと思われるかもしれないが、
もうチケットを手に入れた気持ちになった。
何故だか説明出来ないのだが、本当にそんな気持ちになったのだ。
しかし現状は、水道はかろうじて復活したが、
Wi-Fi代を支払えていない上にスマホの通信速度も低速で3Gなのだ。
これでは、日銭を稼ぐ為のタイミーも探せないので、
チケット代を稼ぐというのがまず無理なのである。
すると、最近手伝っているラーメン屋から
(何故手伝う事になったのかもまた改めて書きたいと思う。)
ありがたい事に、急遽出勤をお願いされ、出勤をする事に。
私はここのラーメン屋に、家から往復4時間かけて出勤している。
私にとってはバイトと言うよりも、パワースポットに出かけるような感覚なのだ。
ラーメン屋のオーナーとは勤務中、
たわいない話をお互にしながら、楽しく仕事をする。
私も大変助かっているので、素直な気持ちを近況を交えて伝えた。
家のWi-Fiが止まり、スマホは通信制限で仕事探しが出来なかったから、 今日は本当に助かった事。
電気グルーヴにハマっている事。
すると、オーナーは自身が契約するポケットWi-Fiをなんと私に貸してくれたのだ..!
感動して涙が出そうになった。
その日のバイト代はいらないですと申し出たが、ちゃっかり給料も日払いで頂き、
「ギガ全部使っちゃっていいからね」とポケットWi-Fiを貸してくれたのである。
これで、最近の頭の中の80%を占めていた心配事「Wi-Fi無い問題」
が解消され、気持ち的にとても軽くなった。どれくらい軽くなったかというと、
自分に羽が生えて飛んでいけそうなくらい。とにかくすごく楽になったのだ。
もちろん滞納しているWi-Fi代を支払わなくて良くなった訳では無いのだが。
しかし、私はこの日のバイトの帰り道、
奇跡が起こり、数万円を手にする事になるのであった。
(ちょっと長くなったので、続きます。)
2024.09.29