【電験解説】第一種 平成22年度 二次試験電力・管理 問3
問題文
地絡方向リレーを設置した図のような送電系統を考える。送電線一回線に一線地絡事故が発生した場合のリレーの動作について,次の問に答えよ。
ただし,計算諸元は次のとおりとする。また,変圧器に接続されている中性点の接地抵抗は,送電線や変圧器のインピーダンスよりも非常に大きいものとし,送電線の静電容量は無視する。さらに, B 端は無負荷,無電源とする。 *事故点抵抗は純抵抗成分であるとする。
解説
(1) X=60.0 [%] , R2=0 [Ω] であるとき,事故点 F に流れる地絡電流を求めよ。
※計算を省略していますがIg=445[A]となります。
ポイント
地絡電流の計算問題に関す類題に対応できるようになると思います。
・「地絡電流を求めよ」とあれば、事故点と変圧器の中性点接地をつないで回路図を書く
・電力系統にも記載されているが変圧器の接地線は、スター結線の中心に接続される。そのため、変圧器の中性点接地には送電電圧の√3分の1の電圧がかかる。
・無視できる要素とその条件を誤認しないよう、問題分をマークしておく。
例:「変圧器に接続されている中性点の接地抵抗は,送電線や変圧器のインピーダンスよりも非常に大きいものとし,送電線の静電容量は無視する。」
より、R1に絡む計算だと送電線と変圧器のインピーダンスが無視できる
・線路が途中で複数本に分かれていても抵抗がなければ1本の線と同じ
(2) X=60.0 [%] , R2=230 [Ω] であるとき, Ry1 , Ry2 , Ry3 に入力される電流の大きさをそれぞれ求めよ。
ポイント
・地絡時の電流の流れ方は、類題を3問ぐらい解くとわかるようになります。
・送電線のインピーダンスを無視できるのは中性点接地の接地抵抗が関係する時だけです。各送電線の各回線の電流の大きさを計算する際には分流の法則を使いましょう。
(3) R2=230 [Ω] であるとき,受電端( B 端)リレーが両回線ともに不動作,送電端( A 端)リレーが両回線ともに動作となり,受電端が停電する X [%] の範囲を求めよ。
ポイント
・「整定値より絶対値が大きい電流が流れるとリレーが動作する」という知識で解けます。
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