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繊細だけど、教員の仕事がしんどくなくなってきた

これまで、このnoteに散々、しんどいだの、疲れるだの、色々書いてきた。

しかし、ここ1か月くらい、仕事がしんどいと感じなくなってきている自分がいる。
あんなに弱音を吐いていたのに、なぜだろうか。
今日はその理由を考えてみようと思う。

1.生徒が思春期に突入した

一番大きな理由はこれかもしれない。
私は、去年は中学1年生を担当し、そのまま持ち上がりで中学2年生を担当している。

中学1年生の最初のころは、椅子に座っていられない子もたくさんいて、動物園のような状態だった。
だから、場を仕切っているときはもちろん、同じ空間にいるだけでも、ぐったりと消耗してしまう感覚があった。
しかし、中学2年生の後半になるにつれて、生徒がだいぶ落ち着いてきたように思う。
生徒同士の会話の内容も、女子は色恋沙汰、男子は煽り合いなど、思春期らしくなってきている(もちろん、思春期ならではのトラブルも起きるが)。

授業では、生徒のタスクに対する理解力が各段に上がってきている感覚がある。
おそらく、単純に彼らの脳が成長してきたことに加えて、
私が出すタスクのやり方に慣れてきているのだと思う。
多少雑に説明しても、私の意図を汲み取って取り組んでくれるようになってきた。
そういう意味で、どんどん授業がやりやすくなっているなと思う。

2.自分の授業スキルの成長

成長しているのは生徒だけではない。
私自身の成長も、仕事が楽になってきた理由の一つだと思う。

まず、単元づくりや授業準備の効率が上がってきている感覚がある。
「こうすればたぶん上手くいく」
「こういう活動なら生徒たちがついてきてくれる」
「この活動はしっかり指示を詰めないと伝わらなさそうだな」
などといった、授業中のイメージが、ある程度自分の中で鮮明にできるようになってきたからだろう。

とはいえ、もちろん時々、「上手くいかない」状況になることはある。
生徒に課題の趣旨が伝わらなかったり、やりにくい課題を設定してしまったり、私の指示が誤解を生んでしまったりなどだ。

しかし最近では、「上手くいかない」状況自体に慣れてきたし、
上手くいかなかったときの、その場での軌道修正もできるようになってきた。
なので、最近では授業を作る時に「上手くいくかなあ…?」と心配することが減ってきていて、
「たぶん上手くいくだろうし、万が一上手くいかなくてもなんとかなるっしょ」
という気持ちで授業を作れるようになってきたので、授業づくりの負担感・不安感はどんどん小さくなっている。

前にも書いたように、教員は自分自身の成長が中々見えない仕事だ。
だから、停滞しているような感覚に陥ることも多い。
しかし、たぶんそれは自分を客観視できていないだけで、まだまだ2年目なのだから、伸びしろたっぷりなはずなのだ。
こうやって自分の成長を改めて言語化することで、停滞感を和らげることも大事だなと思う。

3.いい意味で限界が分かってきた

さらに、いい意味で教員の限界が分かってきたことも、仕事がしんどくなくなってきた理由の一つだろう。

自分が学生の頃は、
良い先生=生徒に大きな影響を及ぼす先生
という学園ドラマ的なイメージを持っていた。

教員になったばかりのころも、そのイメージを若干引きずっていたため、「生徒に良い影響を及ぼさなければ」と妙に力んでいたような気がする。
その力みが、自分のストレスや精神的不安定さにつながり、その不安定さが、生徒対応にも表れてしまっていたように思う。

『友だち幻想』という本に、こんな一節がある。

どんな子どもでも、 真剣にぶつかれば心を開いてくれる、というのはすごくラッキーで、私に言わせればやはり満塁ホームラン狙いの発想なのです。常にホームランが打てるかといえばそんなことはありません。地道にヒットを重ねていくことが教師には求められているのです。

菅野仁『友だち幻想 ――人と人の〈つながり〉を考える』(ちくまプリマー新書) (p.65). 筑摩書房. Kindle 版.

このフレーズの意味が、最近ようやく分かってきた気がする。

生徒は少しずつゆっくり、目に見えない速度で成長している。
学園ドラマみたいに、自分の働きかけ一つで、劇的に何かが変わるなんてことは、ほとんどない。

だから、一発逆転ホームランを目指すのではなく、毎日地道にヒットを積み重ねること。
地味だけど、誠実で安定した対応をひたすら繰り返すことしか、先生にできることはないのだと思うようになった。

それで、生徒の成長が分かりやすく見られたらラッキーで、
見られなくても、ちゃんと見えない部分で成長していると信じるしかない。
植物の成長に例えるなら、花は中々咲かないが、根っこが伸びているいう感じだ。

また、生徒がいきなり明らかに変わることはなくても、
こちらが誠実な対応を繰り返すことで、攻撃的な生徒が、日に日に態度を軟化させてくる、というようなことはよくある。
そうなると、授業がやりやすくなるし、周りの子も平和に過ごせるようになる。
だから、地道にヒットを積み重ねることは、こちらにもある程度メリットがあると思うのだ。

こんな感じで、教員にできることの限界が分かってから、
変に力むことはなくなってきた。

毎日、とりあえず誠実な大人でい続けよう。
そのために、自分にストレスがかからない、持続可能なマインドセット・働き方を心がけよう。

そんな考え方に最近はなってきている。

おわりに:立場が変わったらまたしんどくなるかも

教員の仕事がしんどくなくなってきた、と書きましたが、
あくまで現在の立場でのしんどさが減ってきた、という感じです。
来年、再来年と、学校内での立場や、教える生徒たちが変われば、また別のしんどさが生まれてくると思います。
その時はその時で、また色々なことに気づいていくと思うので、
正直にnoteに書いていきたいと思います。

最後まで読んでくれてありがとうございました。

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