【恋愛短編小説】 花弁と共に ”中編”
「よっ」
振り向くと、そこには軽快な挨拶に反して固い表情をした屈強な男の姿があった。
軽量級の自分と比べると100kg級の大博は立っているだけで存在感がある。
「見舞い来るの遅いんじゃねーの?薄情者め」
久々に会った親友に軽く悪態をつく。
「すまん。色々と整理がつかなくてな」
そう言ってベッドの横にたたんでいたパイプ椅子を開き、ゆっくりと腰を下ろした。
静かな病室に椅子の軋む音が響く。
「それで、夏までには間に合うのか」
包帯で大袈裟に巻かれた右腕を見ながら、険