それにつけてもパンダ銭湯、および銭天堂
同志Aからのお題:おやつ
昭和の面影。一つは消え、一つは残る。
表通りから奥まった場所に、数年前まで木造瓦ぶきの銭湯があった。人気絵本「パンダ銭湯」のような立派な宮造り。偶然見つけた時は、思わず「おおお」と声が出た。
まだ幼かった娘と一緒に、その前を通るたびに「見て、見て、パンダ銭湯だ! 」と言っては、パンダ銭湯は実在すると信じ込ませようとしていた私。古式ゆかしき外観を愛でながら、いつかゆっくりお湯に漬かってみたいと思っていたが、廃業して今は跡形もない。
この先の住宅街に、一軒の駄菓子屋がある。銭湯はパンダ風味だったので、こちらは「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」似を期待したいところ。しかし着物姿の紅子さんは見当たらず、実際には頑固一徹そうなおじいちゃんが座っている。おばあちゃんの出番も時々あるようだ。
子どもたちの間では「おばあちゃんはやさしいけど、おじいちゃんは超怖い」「おじいちゃんが居たら入りたくない」と言われている。子ども相手の商売なのに、甘くない、逆張りの店。
先日、娘&同級生Mちゃんが「駄菓子屋さんに行きたい」というので、同伴することに。おやつの誘惑が怖さに勝ったか、2人なら大丈夫ということか。100円玉を握りしめた同志少女は「おじいちゃん居たらどうする?」「ホラーだよ」とワサワサしながら店を目指す。
ガラス戸を引くと、ビンゴ! ガールズに緊張が走った。
さてどうなることやら。店の前で聞き耳を立てる。先に支払いを済ませ、店を一歩出たMちゃんが「○○は何円でしたか?」と確認でUターンするや、大きな声で「会計したら、もう店に入って来んな!」と非常にキビシー言葉が飛んできた。会計済み・会計前商品の「混ぜるな危険」の可能性を回避したいのだろう。いやはや、ご壮健で何より。
おじいちゃんが売っている駄菓子は、ちょっぴりビターなお味でござんす。
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