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マーケティングで解決しない問題を、ブランディングは解決するか? :違いと補完関係を徹底解説
グランドデザイン代表の西です。「マーケティング」と聞くと、仕事をしている誰もが重要だと感じる一方で、「実はよくわからない」と思っている人も少なくないのではないでしょうか。ボクもその一人で、ブランディングに携わる立場として、「マーケティングの目線から私たちの仕事はどう見えているのだろう?」と気になるし、会議ではマーケッターに質問ばかりしています。
一方で、マーケティングとブランディングが相互補完の関係にあると信じながらも、その関係性を深く掘り下げた議論が少ないように感じていました。
そんな中、マーケティングとブランディングが同じ学問的ルーツを持つことを知り、そこから両者の理想的な関係性を整理できるのではないかと思いました。本記事では、以下の流れでこのテーマを掘り下げていきます。
1. マーケティングとブランディングが立脚する学問と歴史
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マーケティングの進化:5つのステップ
マーケティングは20世紀初頭のアメリカで、供給過剰の市場で自社商品を効率的に売る手段として誕生しました。ここから以下の5段階を経て進化してきました。
1. 市場メカニズムの分析と効率化
経済学や商業学を基盤に、商品の販売効率を最大化。
2. 消費者行動と心理の解明
心理学を活用し、消費者の選択プロセスを理解。
3. 社会的・文化的要素の取り入れ
社会学を通じて、価値観やトレンドを考慮した戦略へ。
4. データと技術の活用
統計学やデータサイエンス、AIを駆使したパーソナライズ戦略。
5. 非合理的行動の研究
行動経済学で、消費者が合理的でない選択をする理由を解明。
これにより、マーケティングは単なる「販売促進」から、消費者心理や社会的価値の創出を統合的に考える学問へと進化しました。
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ブランディングの進化:6つのステップ
一方で、ブランディングもまた、マーケティングと同じ商業学や経済学を基盤として発展してきました。その進化は次の6段階でまとめられます。
1. 識別手段の確立
製品を他と区別するためにロゴや名称を導入。
2. イメージと価値の強調
消費者に「選ばれる」ためにブランド価値を形成。
3. 感情的なつながりの構築
心理学を活用し、ブランド・ロイヤリティを構築。
4. 社会的・文化的役割の拡大
ブランドが消費者のアイデンティティや価値観の象徴に。
5. 体験価値の重視
デザイン学を通じ、消費者体験そのものをブランド価値に。
6. 倫理的・社会的価値の追求
環境経済学や倫理学を通じ、ブランドパーパスを探求。
こうして、ブランディングは「識別」から「感情」→「文化」→「倫理」と進化してきたのです。
2. 共通点と性質の違い
マーケティングとブランディングは、共に「消費者と市場を理解し、価値を提供する」という目的を共有しています。しかし、そのアプローチには次のような違いがあります。
マーケティング:データと効率性を重視(統計学、IT技術)
ブランディング:意味や価値を重視(哲学、文化人類学)
これをクリエイティブの観点から整理すると、マーケティングは「エンジニアリング型思考」、ブランディングは「プリコラージュ型思考」と言えます。
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3. 理想的な補完関係
エンジニアリング型のマーケティングが効率的に価値を提供する方法を探る一方で、プリコラージュ型のブランディングは「そもそもなぜそれを行うのか」を問いかけます。
0→1: WHY(なぜ行うのか) = ブランディング
1→2: WHAT(何を行うのか) = ブランディング&マーケティング
2→3: HOW(どのように行うのか) = マーケティング
多くのプロジェクトでは「HOW」から始まる傾向があります。効率的に物事を進めるために「WHY」を深く掘り下げる時間がないからです。しかし「WHY→WHAT」こそが、消費者にとって真に新しい価値や驚きを生むものだと僕は考えています。「WHY→WHAT」をブランディングが担当し、「WHAT」の実効性をマーケティングが解析し、調整する。
マーケティングとブランディングがそれぞれの強みを活かし、適切に補完し合うことで、より消費者に驚きや意味のある商品・サービスを提供できます。この関係性を理解し、実践に取り入れることが、これからのビジネスの鍵となると僕は信じています。
皆さんのご意見を頂ければと思います。
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