変化と延長線
夕方からの服薬量は、言われた通り半分になっていた。(何故わかるのか?プチッと出す前に、裏が100が見えなくて5が見えたからだ。半分の大きさではなかった。)
翌日は、朝から我慢できる程度に、副作用は治まっていた。
頭痛はしても、寝込むほどではない。吐き気はするけど、吐いたりしない。
食欲はあまり無いが、食べようと思えば、流し込むことができそうな気がした。
薬とは恐ろしい物だと思った。
半分とはいえ、同じものでも量でここまで、違うのだから。今日は、久しぶりに心が落ち着いて過ごせそうだ。
そう言えば、痛みも苦しみも殆ど感じない。
この日、頭痛薬もなくなった。
お昼になると、彼女と子供がやって来た。
『ガラガラ』いつもの彼女だ。
「来たかぁ。」「来たよ(笑)」
「調子は、大丈夫?」「薬も飲んでるし!大丈夫だよ。」点滴もして無いし、苦痛で寝込んでもいない。
わたしは、今年1番の笑顔で答えた。
「もうそろそろ、帰れるかなぁ。
」「まだ、わからないでしょ。」
「大丈夫だよ。そんな気がする。」「気がするだけでしょ。」
「君のご飯が食べたいんだ。もう、病院食は、懲りごりだよ。」
彼女は、こっちで3人暮らしを始めて、レシピを集めてバランス良く手料理を作ってくれる。
そして、レシピノートなる物が、引き出しに存在することをわたしは知っている。
「ちびっ子と一緒に寝られないのも寂しい。」
「もう直ぐなんでしょ。」彼女の言葉に、子供も可愛い。夜泣きがなくなり、纏まって寝ることが出来るようになると、体も精神的にも楽になる。
朝の保育園が、なかなか慣れない。
泣き出し、しがみつかれると、置いていくことに罪悪感が芽生える。
彼女と、いままでの事やこれからの事を話しながら楽しい時間は、早く過ぎていく。
また、彼女と子供との暫しの別れである。
「またね。」「またね。気をつけてね。」と言葉を交わし、扉が閉まる。
夜の、食事の後に看護師さんと話をした。
「今日は、調子がよかった。思いの外、早く帰れるかも。」「それは、良かったね。でも、脈は相変わらず低いから焦らないでね。」
「大部屋にでも、移ろうかなぁ。話し相手もいない。」「それは、良いかもしれないけど、面会は場所を変えるか短時間になるわよ。」「嗚呼、そうか。」と言いつつ、現状で治療しよーと思った。
翌日、朝から職場へ連絡をした。
仲の良くしてもらっている上司へ、簡潔に全てを話し「部長、まだ入院が少し伸びそうです。」と申し訳ない思いで報告した。「もう、後2週間くらいだし、今年は療養でええやろ。上とか他には、俺から言っとくから、何も心配線でええ。」「上はともかく、皆へ全部言うのはちょっと。」「分かっとるわ。変に気ぃ使われるのもやり辛いやろ。近い内に、様子を見に行くわ。」「ありがとうございます。」
ちょこちょこと、お見舞いに来る会社の同僚や、友人に(ありがとう)と呟く。
いつも読んで頂きありがとうございます(*´∀`)