見出し画像

『清里幽靈事件』『滑雪場幽霊事件』購入レポート

前回、壮絶な長さの記事を書きましたが、この時点では「海外版の本の情報、画像については確認できた」状況でした。(この記事の執筆後に台湾版コミックス情報を反映させています)
今回は台湾版のコミックスを両方入手したのでそのレポートです。

前回はこちら。

この時に見ていたページはオンライン古書店のページとオークションサイトのページでした。本の画像を見ることができるので実在していることは解ります。最初はそれで充分だと思っていたのですが、どうしても解らないことが多く残ります。

まず海外の本なので奥付の情報その他が基本的に解りません。何とか現物確認できないかなとどうしても考えてしまいます。しかもワタシが画像を確認できたサイトがオークションサイトなので買おうと思えば買えるものでした。
なので「……買うか」とふと魔が差してしまいました。

ちなみに館山の中国語スキルはあまりなく、Duolingo中国語(英語版の方なのでChinese)のコースを、その時に登録されている最後まで終えた程度のレベルです。解らないところはGoogle翻訳やDeepLで調べればぎりぎりいけるんじゃないかという程度ですが、おぼつかないなりに何とかオークションサイトに会員登録してみました。

ただし台湾のサービスでは日本のクレカも電話番号も登録できません。海外発送も受け付けていません。会員登録ができても、そこから先はNGなのです。そこで詰んだかと思いましたが、ふと「購入代行ってあったような」と気付き、いくつか確認してひとつの会社に問い合わせてみたら、オークションに出ている商品を代理入札することが可能だと教えてもらいました。ここまで来たらもう買うしかありません。

この時にはまだ『滑雪場幽霊事件』の単行本しか発見できていませんでした。『清里幽靈事件』は既に落札済みだったのです。最悪、『滑雪場幽霊事件』だけでも入手できたら奥付や翻訳した感じがどうなるのかを確認できます。まずは手付金を払ってそちらの入札をお願いしました。
そしてありがたいことに早速落札できました。

その日、あれこれ『清里幽靈事件』が登録されていないかと確認していたら、別のオークションサイトで発見し、こちらも無事に落札してもらうことができました。両方の本が届いてから残額の支払いを終えて、日本に発送してもらいました。

そして数日経った今日、めでたく届いた訳です。
おめでとうワタシ、ありがとう購入代行会社さん!

まずは二冊のコミックスの書影を載せます。
講談社KCフレンド版の単行本より少し小さいです。とりあえず日本では入手困難だと思うので参考データとして書影を載せます。
ここには載せませんが、裏表紙のカットも講談社版と同じものを使っています。

清里幽靈事件

1997年08月20日刊行
東立出版社girl comics
加山 弓・風見 潤

東立出版社『清里幽靈事件』(館山私物)

書影データの加工(なるべく現物と色味が同じ感じに見えるように加工しました)を済ませ、講談社版と比較します。『清里幽靈事件』が講談社版よりかなり黄色いです。最初に画像を見た時には「色のついた紙に印刷しているのでは?」と思っていました。裏表紙のカットも表紙ほどではないですがやや黄色みが強いです。

講談社版とめちゃくちゃ色味が違いますよね。

講談社版『清里幽霊事件』(館山私物)

滑雪場幽霊事件

1998年01月05日刊行
東立出版社girl comics
加山 弓・風見 潤

東立出版社『滑雪場幽靈事件』(館山私物)

講談社版『スキー場幽霊事件』(館山私物)

『スキー場幽霊事件』と『滑雪場幽靈事件』はそこまで色味がダイナミックに変わってはいません。『滑雪場幽靈事件』は保存状態の問題があったのでホチキスで補強されています。

その後に奥付を見ます。
これでやっと販売時期が解りました。『清里幽靈事件』は1997年08月、『清里幽靈事件』のコミックスは小説『まぼろしの富士幽霊事件』の一ヶ月後。コミックス版『清里幽霊事件』刊行からほぼ六年弱経っています。
『滑雪場幽靈事件』は1998年01月。『鬼の里幽霊事件』の翌月、コミックス版『スキー場幽霊事件』刊行の六年後です。
翻訳者はどちらの本も劉梅芬さんという方です。

何故このタイミングだったのかはよく解りませんが、『清里幽靈事件』の巻末には吉原由起『お・ぼ・れ・た・い』(小学館)翻訳の広告、『滑雪場幽靈事件』の巻末には平井摩利『火宵の月』(白泉社)、高城可奈『結界の森へようこそ!』(主婦と生活社)、三浦実子『リターン』(講談社)、清水玲子『MAGIC』(白泉社)、美村あきの『放課後の時間割』(講談社)、牧村久実『満月にお願い』(講談社)、尾崎南『絶愛-1989-』(集英社)、牧村久実『Cotton Candy』(講談社)、ふみづき綾人『片翼の者』(宙出版)の広告が入っています。
BLを含むいろんな会社の少女向け作品を扱っているようです。

奥付のタイトルの下にはそれぞれ「原名 清里幽霊事件」「原名 スキー場幽霊事件」と書かれています。
そして日付の下に太文字で『日本講談社正式授權台灣中文版』と書かれています。正式な翻訳版ということでしょう。(そうでなかったら幽霊事件シリーズのあとがきに書かれていないと思いますが)

そして一番下まで辿っていくと、ちょっと途方に暮れました。英語でタイトル、作者、元のバージョンが講談社から刊行されていて、講談社から正式に許諾を受けて東立出版社が中国語版を出しているというテキストです。
「……タイトル違うんでは?」

『清里幽霊事件』は『Kiyosato Yurei Satsujinjiken』、『スキー場幽霊事件』は『Ski-jyo Satsujinjiken』(太字処理館山)とあるのです。『スキー場幽霊事件』の方はYureiの文字すらありません。
正式ライセンス商品とあれば間違いでこうなったとは思いづらいので、『幽靈』と書いてしまうとホラー作品と間違われることが頻繁に起こるのでこうなったのではないかと推測しています。

そして最後の謎です。
両方共に正式ライセンス商品なのに、何故風見先生のあとがきや単行本リストで『清里幽靈事件』が無視される形で書かれていたのか。
これについては『Satsujin』問題以上に推測を超えて下衆の勘繰り的なことしか言えませんが、有り得るとしたら「この『清里幽靈事件』の表紙があまりにも強烈に真っ黄色で、かやまゆみ先生の中で『これはなかったことにしたい……』とダメージがあったのではないか」というパターンなのではないだろうかと思っています。(ただそれはかやま先生の作品リストで扱わない理由にはなっても、風見先生のリストで扱わない理由にはなりませんし、『滑雪場幽靈事件』だけは扱うとなると対応の整合性に欠ける気はします)

今回、EMSを使って発送してもらったりもあったのでそれなりにお金はかかりましたが、現物がないと得られない知見が多く、ワタシとしては充実した買い物だったと思います。

残った韓国語版の小説二冊については、ワタシが中国語で「DeepLを使ってあれこれして判断できるんじゃない?」というところまで習得したのと同程度に、せめてハングルが読めてショップサイトをGoogle翻訳やDeepLで確認して何とか購入代行会社をお願いできる程度の韓国語力を身に着けた時に挑戦したいと思います。

いいなと思ったら応援しよう!

館山緑(granat)
館山の物語を気に入ってくださった方、投げ銭的な風情でサポートすることができます。よろしかったらお願いします。