セッションC ルール・メイキングの現在地〜法令との新たな向き合い方〜
こんにちは!日本GR協会の佐々木です。今回は、今年4月に開催した日本GRサミット2024のセッションC「ルール・メイキングの現在地〜法令との新たな向き合い方〜」の報告です。
セッションの目的
ここ数年、公益という理念を掲げ,全てのステークホルダーを巻き込んで社会全体に働きかける「パブリックアフェアーズ」が企業や団体に広がっています。弁護士、企業、業界団体など様々な立場から法(ルール)に携わっている専門家をお招きし、企業や市民として今後必要となるマインド、具体的な手法などを伺います。また一般市民や企業が積極的にルール形成に参加するためにはどのようなルール形成システムが必要になるかについても伺います。
登壇者
落合孝文 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 シニアパートナー 弁護士/スマートガバナンス株式会社 代表取締役 共同創業者
杉原佳尭 Netflix ディレクター・公共政策担当
水野祐 シティライツ法律事務所 弁護士/九州大学GIC客員教授
モデレーター:小木曽稔 株式会社政策渉外ドゥタンク・クロスボーダー代表取締役
セッション概要
※敬称略
ロビイング業務をこなすためにどのような生活をしているのか?
詳しい人に教えてもらうことをルーティンにしている。これまで多くのコミュニティを作ることに関わってきた。様々な分野について教えてくれる人と連絡を取れる環境を作っている。(落合)
昔は3紙、今は日経新聞を愛読している。(小木曽)
スタートアップと協働すると新たな技術や企業の動向を知ることができる。横断的な知見を獲得できている点は弁護士として非常に強みになっている。(水野)
GR業界が陥りやすいミスとは?
例えばスーパーシティに関連して1000件提案が来たが、9割は内容不十分である。スーパーシティとして企画が通るためには「現行制度から少しはみ出る場所」を特定する必要がある。現行制度や直近の法改正を適切に捕捉して提案しなければならない(落合・水野)
2016年に開催されたG7香川高松情報通信大臣会合において、AIの開発原則の議論に着手することを提案した。そこで形成された秩序が現在の国際ルールメイキングの土台にあると思う。ルールメイキングを行う上ではこのような「仕掛け」を作り出すことが重要である(杉原・小木曽)
GRが大企業の占有物であるように感じられることに危機感を持っている。上場する手前くらいのミドルステージにいる企業は大企業以上にGRに精通している人が揃っている。(水野)
新たな「法令」との向き合い方とは?
個別テーマでは法令を見ることが重要。また提案を考えるときに社会にとってプラスになるように構成されているかという点が重要である。世の中の政策や社会の動向をマッピングして、As isとTo be が整理されていると良い提案になりやすい。技術的なところが間違っていても色々な人が助けてくれる(落合)
考えを同じくする仲間を作ることが重要である。他の仲間から白い目で見られたとしても頑張ってくれる省庁や国会議員の方はたくさんいる。(杉原)
リーガルエンジニアリングの観点で弁護士や法務担当者を使いこなせない人が多いが、それよりも「社会をこうしていきたい」という想いがなければ変えるものも変わらない。(水野)
次回はパブリックアフェアーズのスペシャリスト達のセッション報告!
いかがだったでしょうか?筆者は以下の3つが重要であると感じました。
現行制度や直近の法改正を適切に捕捉することを前提に、様々な情報を共有できる仲間を多く作る。
GRの方法論よりも、As isとTo beを明確にし、「社会をこうしていきたい」という熱いパッションを持つ。
今後の議論の前提になる「仕掛け」を作りにいく。
次回は、様々なステークホルダーと連携して社会課題解決のために政策提言活動を行う「政策起業家」のスペシャリスト達が登壇したセッションについてお伝えします。お楽しみに!