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解剖学の学び アメリカへ⑥ 解体5日目(最終日)

いよいよ解剖最終日。6時に起床しいつもより多めのランニング。

ホテルに戻り、日本で買い溜めていたレトルトのお粥と鯖の味噌缶で済ませて準備。

睡眠は十分だけど、さすがに5日間の疲れがあるのか集中力がない。でも最後なのでみることができるものは全て見ておきたい。

最後のミーティングルームへ。
細胞レベルの映像は興味深々。ミクロな話と映像は見入ってしまった。

そしていつもの手順でラボへ。
ラボはいつもより異臭を放ちながら待っていてくれている模様。マスクを2枚重ね。へそのあたりに体液がついた白衣をまとう。マスクの間に入れたメンソールで匂いはごまかし、献体を包み込んでいるプラスチックを剥がす。

昨日、頭蓋骨を割ったグループもあるが、自分達のグループは骨盤底筋を内側から覗き込む形を目指す。個人的には僧帽筋を剥がし大円筋や棘上筋や棘下筋、大円筋などの動きをみたい。
グループのTさんがローテータカフを見事に切り分けていた。周りのグループもよく見にくる。
素晴らしい。

臀部の油がなくなってきたら、ひっくり返して膀胱の除去。トムが来てくれて、ほぼ一人でこなしてくれました。が、膀胱と卵巣を取り出した時、大腸を傷つけて便が少し見える。親切なトムが切除してくれて骨盤底筋を観察。この献体は男性のような骨盤をしているから出産はたいへんだろうと言っていました。

周りのグループの献体をみてみると、中枢神経をメインにしているグループの面白さにしばらく見入ってしまう。さらに別のグループでは、脳をこじ開けてさらに眼球をだしているグループもいる。

各グループでアプローチは様々でしたが、各々が見たい部位を最後まで必死で見入っていました。

ラボ内は撮影が出来なかったことは残念ですが、充実した時間をいただきました。

最後にトムが1分間の黙祷を促し、献体となってくれた8人に感謝。
トム曰く、人間の解剖というとネガティヴな発想が多いが、『私の身体を勉強に使ってください』っと言って頂く人がいて初めて可能で、単に身体を観るだけではなく『死』をしっかり考える時間になる。

まさにその通りで、自分が死んだ後自分の身体を使ってくれと言えるだろうか?
後世の為に身体を差し出して頂ける人がいて、その犠牲の上に、今生きる人の医療や健康指導があることは間違いない。

日常生活で遺体を観る瞬間は、身内や知人の葬式くらいで、ましてや触る機会となるとなかなかない。ネガティヴな情報は隠してしまう世の中ではあるけど、必ずあるを見てを感じる時間でもありました。

解剖そのものは、正直一度見たくらいで全てを理解すれことは難しい。指導現場にすぐに活かせるかどうかはわからないが、裾野が大きく広がったことは確か。企画して頂いたキネティコスのTANIさんが、来年か再来年に開催できるか…っと濁していましたが、開催されればよほどの日程が重なってない限りまた参加したい。
その時までに知識を増やし、多く経験し、英語もなんとかしないと…
素晴らしい時間と情報を頂いたトムマイヤーズをはじめ、関係者の方々に成長の機会を与えてくれた事を心から感謝したい。
また参加者の方々で特に楽しい時間を提供して頂き、新しい気づきを与えてくれた方々に出会えたことを幸運に思います。

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