浮気はじめました
浮気をすることにした。
むろん推し活の話である。
私は結婚をしておらず、彼女もいないので、実際の浮気はできようがない。
なぜ浮気をすることにしたかというと、本命である林美沙希さんを思う気持ちがこのところエスカレートしてきており、なんとかしないといけない危険水域に達しているからだ。
画像引用元：林美沙希（公式）インスタグラム
月〜水曜日は欠かさずに『ANNニュース』をリアルタイムで視聴し、インスタやThreadsの投稿は即時通知の設定にしてチェックしている。
美沙希さんが『自転しながら公転する』という小説を読んだと聞けばそれを読み、『PERFECT DAYS』という映画を観たと聞けばそれを観にいく。
最近では本を買って麻雀の勉強まで始めている。
この入れ込み方はさすがに異常である。
これは鬱病の状態が改善して生きる意欲が湧いてきたからではなく、躁状態になっているためだと自分では思っている。
このままでは、もし「あの恐るべき事態」が起こったときに、私の精神は完全に壊れてしまうだろう。
「あの恐るべき事態」とは、美沙希さんの結婚である。
以前の記事では「結婚報道が出ても寝込んだりすることはないだろう」などと書いていたが、現在はもはやそのような余裕のある状態ではない。
そして美沙希さんの33歳という年齢を考えれば、そのXデーは明日であっても何ら不思議はない。
脳内のほぼ100%を占めている美沙希さんを“薄める”ために、まずは心の中にいるほかの女性の存在感を高めることを試みた。
noteの記事を書いて以来、その存在感を強めている宮坂久美子さん、岡田有希子さん、片山美紀さんのことを考えるように努めた。
しかし、3人ともこんなに大好きな人であるにもかかわらず、巨大なモンスターと化した美沙希さんの前ではほとんど無力だった。
そこで今回の浮気である。
新たな女性を見つけようと思い立ったわけだ。
その女性は探すまでもなく、突然現れた。
彼女の投稿がインスタのおすすめとして流れてきたのである。
170センチの長身、すらっと長い手足と指、白い肌、ストレートのショートヘア、個性的だが整った顔、ちょっとキツそうなクールな目つき。
私のストライクゾーンのド真ん中である。
「この人なら美沙希さんと戦えるかもしれない」。
なんの戦いだかわからないが、そう直感した。
このAさんは本名も職業も不明ながら、モード系のファッションモデルのような印象。
インスタのフォロワーは3,000人弱。20代前半くらいに見える。
さっそくコメントを残してみたところ、読んだというしるしに本人から「いいね」がついた。
また、質問を受け付けるストーリーズがあったので送ってみたところ、きちんと返信が届いた。
自分の投稿についたコメントを読むことなどめったになさそうな、フォロワー10万人越えの美沙希さんとはだいぶ対応が違う。
このような点からも、Aさんのことをどんどん好きになっていけそうな気がした。
私にはどうしても「愛する対象」が必要で、その対象はできれば「生身の女性」であってほしいらしい。
しかし実生活で自分が出会う女性を愛するということは、無職で精神障害者という自分の現状では問題があまりにも多すぎる。
しかも、人に会うのがしんどいという致命的な欠点も持っている。
そこでこのような歪んだ形の愛にならざるを得ないのだと思う。
世の中にはアニメの登場人物やフィギュアを愛することができる男性も少なくないようで、それはさらに歪んだ愛だと考えられがちだ。
けれども、対象となる相手に迷惑をかけていないという点では、それはより成熟した形だといえるのかもしれない。
いずれにせよ、独身のジジイがこんなことを考えている時点で、世間から見れば気持ち悪いことには変わりないだろう。
できるだけ相手に迷惑をかけないよう、そして周りの人に知られぬよう、ひっそりと推し活をやっていきたいと思う。
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