#17. Maharishiの製品カタログ
ストリート系ファッションブランド『Maharishi(マハリシ)』の製品カタログである。
表紙をめくると、裏側(表2)も同じくバーガンディーで、地紋はカッパー(銅色)っぽい特色。
ワイヤーリングを使ったリング製本になっている。
本文ページはこんな感じ。
スクリプト体と太いサンセリフ体の数字を重ねたタイポグラフィーがいい感じ。
おそらくスクリプトが『Flemish Script II 』で、太いサンセリフの数字が『Univers Black Extended』。
目の周りを真っ黒に塗ったクールなモデルさんも私のタイプだ。
そしてこのパンツ、自分も買って着ていたなあ。
30代の頃の私は洋服に散財するいわゆる「着道楽」で、特にこの『Maharishi』の服を愛用していた。
ストリート系とはいえ、アウターが8万円、パンツが3万円、といった感じの高級なブランドだったので、今から思えばずいぶんな贅沢だったが、若い頃にしかできないことでもあるし、よい経験だったと思っている。
この頃はまだインターネットの黎明期で、「ネットの作法」というものを誰もよくわかっていなかったから、私は『Maharishi』の創業者でデザイナーのハーディー・ブレックマン(Hardy Blechman)さんに直接ファンメールを送り、『Maharishi』の服をとても気に入っていると本人に伝えていた。
ハーディーさんのほうも、地球の裏側に住んでいる変な奴がつたない英語でメールを送ってくることをおもしろがってくれたのか、しばしば返事をくれた。
そのころの『Maharishi』にはネットストアがなかったので、彼がロンドン店の店長に連絡して、直接メールで商品を注文できるように話をつけてくれていた。
あるときは『Maharishi』が出版した高価な本(ハーディーさんのサイン付き)をサプライズプレゼントとして送ってくれたりもした。
新宿の高級店『BARNEYS NEWYORK』に『Maharishi』の商品が入荷したときには、担当者がわざわざ電話をくれ、私は黒服の門番に迎えられながら買い物をしていた。
現在、汚らしい格好で街をうろうろして、あまりのみすぼらしさに振り返られるようなジジイが、20数年前にそんな生活をしていたとは、誰も信じてくれないであろう。