#18. ポスティングチラシのデザイン
郵便受けに投函されているチラシは、読むことなくそのままゴミ箱に捨ててしまうことが多い。
きちんとデザインされている印刷物はほとんどないという印象を持っている。
しかしごくまれに、丁寧に作られたきれいなものも紛れ込んでいる。
『銀のさら』のこのチラシ(メニュー)は、太明朝体のよさを生かしていて、こんなに大きな文字サイズでも下品になっていないところがすばらしい。
中面も丁寧。
スミを足した赤色が写真の黒い背景とよく合っている。
「宴」の文字の背景に地紋を入れるなど、気配りも細かい。
一般の人はこういったチラシを見るときに味や値段が気になるのだと思うが、私は「大変なんだよなあ、こういうの作るのって」という思いとともにデザインの出来をまず確認する。
この『ドミノピザ』のチラシ(メニュー)もきれい。
中面がさらによい。
フォントの選定(和文/欧文とも)、各文字サイズのバランス、アイコンの使い方など、センスのある人だなと思う。
スミベタとリッチブラックを組み合わせているところもオシャレ。
最後は、この脱毛サロンのチラシ。筧美和子さんの写真にだいぶ助けられているとはいえ、スモーキーピンク、イエロー、ブラウンの配色が美しく、きれいにまとまっている。
なお、私がこれらのチラシを褒めたのはデザインに関してであって、そのサービス内容がどんなものかについてはまったく関知していない。
最後に紹介した脱毛サロン『シースリー』は、倒産直前まで顧客を勧誘したなどとして社会問題になっている。
この脱毛サロンを利用して被害に遭われた方々はほんとうに気の毒だが、チラシのデザイナーや筧美和子さんは、そんなひどい会社だとは知らなかったはずで、それもまた気の毒である。