#2. マクドナルドのフライヤー
前回バーガーキングの話をしたので、関連してマクドナルドのフライヤーの話。
格好をつけて「フライヤー」と呼んだが、わかりやすく言えば「チラシ」である。
これは折込広告として新聞に挟まれていたものだったと思う。
アメリカにも、新聞の折込チラシというものは存在する。
友人が購読していた『The New York Times』には多種多様な広告が挟み込まれていて、印刷物が好きな私にとっては宝の山だった。
キャッチライン(キャッチコピー)はあえて堅い文体で、「NOT VALID UNLESS ACCOMPANIED BY AN ADULT(大人の同伴なき場合は無効)」。
「大人のためのマック」とでも呼んだらよいだろうか、そんなコンセプトのハンバーガーの広告である。
このキャッチライン(NOT VALID UNTIL…の部分)で使われている書体は、いわゆる「スラブセリフ体」と呼ばれるものだ。
具体的なフォント名でいうと、おそらく『Rockwell Bold』。
その下の「Introducing Mc Donald’s…」の筆記体(スクリプト体)は『Ribbon 131 Bold』か『Coronet Bold』だろう。
下部の「Save $3.50 at McDonald’s…」のフォントは特徴的で非常に気になるところだが、残念ながらフォント名はわからない。
大企業は自社のオリジナルのフォントを持っていることが多々あるので、 これも、もしかするとブランドフォントなのかもしれない。似たフォントで代用するなら、『FF Schmalhans Bold』か『Carlos Bold』あたりだろうか。
用紙はA4の変型サイズ(274 mm × 210 mm)。
A4サイズの長辺だけを短く切り落として、短辺と長辺の比率を「1:1.3」になるようにしている。
これはアメリカでよく使われている「レターサイズ(8.5×11インチ)」とほぼ同じ比率なので、私はこんなところにちょっとアメリカらしさを感じたりする。
裏面はクーポンになっている。
最近ではスマホ決済などの電子クーポン(デジタルクーポン)が主流になってきているが、日本でもアメリカでも、元々のクーポンはもちろん紙だった。
この太い点線が、アメリカのクーポンのお決まりのデザインである。
ミシン目は入っていないので、点線の部分をハサミで切り離して使う。
クーポン券の分厚い束を輪ゴムで縛り、スーパーのレジで大量に使っているご婦人を見かけたこともあった。
私が通っていたマクドナルドの向いにはスーパーがあり、レジ係のアメリカ人の女の子が可愛かったものだから、会計時によく話しかけたりしていた。
ある日、マクドナルドでたまたまその子を見かけたので、「ここ座っていい?」などと調子に乗って相席させてもらい、話をしていると、予期せずその子の彼氏(ガタイのいい黒人)が登場した。
私が童顔で子供に見えたせいなのか、大事には至らなかったが、冷や汗が出た。
このフライヤーを見ていると、ふとそんなことが思い出される。