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#11. 美術手帖(1980年)
中学生のときに買った雑誌『美術手帖』である。
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サイズ:210 × 148 mm
採取場所:東京(日本)
採取年:1980年
詳細情報:美術出版社/昭和55年8月15日発行
パソコンもタブレットもない時代だから、イラストや漫画を描くときには当然画材が必要だった。
そして画材を選んだり買ったりすることは、絵を描くことと同じくらいに楽しい体験だった。
「デザイン[道具+材料]」という副題のついたこの『美術手帖』の増刊号には、膨大な種類の画材がカラーページで紹介されていた。
ペン、鉛筆、色鉛筆、カラーインク、マーカー、コンパス、定規、雲型定規、色紙、色見本帳、カラートーン、スクリーントーン、インスタントレタリング、写植見本帳、レイアウトパッド、はさみ、カッター、アートナイフ……。
各メーカーの商品がずらっと並べられている様子は圧巻で、少年だった私の心をワクワクさせた。
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人気のクリエイターたち(真鍋博さん、新井苑子さん、大西洋介さん、大橋歩さん、佐藤晃一さん、空山基さん、辰巳四郎さん、林静一さん、矢吹伸彦さん、薮内正幸さん、湯村輝彦さん、吉田カツさん、南雲治嘉さん)が道具について語るインタビューも掲載されていたので、それも夢中になって読んだ。制作風景を紹介したカラー写真にも釘付けになった。
これは、セクシーロボットで一世を風靡した空山基さん。
憧れたなあ。
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小梅ちゃんのパッケージやCMで人気だった、林静一さん。
私の通っていた中学校(中野区立第九中学校)の先輩にあたると知ってうれしかった。
画集を買って、模写したりしたなあ。
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のちに私が高校生になったとき、以下のページに作品が紹介されていた小川一衛先生(おがわ かずえい/元女子美術大学名誉教授/故人)に、デザインを教えていただける幸運に恵まれた。
小川先生はほとんどマンツーマンのようにして指導してくださり、私が社会人になってからもずっと、私のことを可愛いがってくださった。
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大学生のときには、表紙や以下のページに登場している湯村輝彦さんのスタジオでアルバイトさせていただくという、これまた奇跡的な幸運に恵まれた。
数日間だけではあったが、奥様の湯村タラさんの手作りカレーをごちそうになったりもした。
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そんなことがあって若輩だった私は、将来は自分もきっと『美術手帖』で紹介されるような有名クリエイターになるのだろうとおめでたいことを考えていた。
タイムマシーンに乗ってこの頃の自分に会いにゆき、「そんなに甘くねーぞ。舐めんな。」と言ってやりたい気もするが、まあ、いずれ身に染みてわかることである。