第二回 Graffity ARエンタメ ハッカソン - GeoSpatial × テーマパークを組み合わせたARエンタメ体験を作ったみた
みなさんこんにちは、Graffityの森本です。
第二回社内でハッカソン「Graffity Hack Challenge」を実施しました!
Graffityは、「Blend Tech In Life」というバリューがあり、日常に溶け込む技術を提供していこうという思いが込められています。最新技術を理解し日常に溶け込むのような企画を作る機会を社内で作りたいと考えており、ハッカソンを実施しております。
今回は、Googleが2022年5月に発表したGeo Spatial APIを活用し、ディズニーランドやUSJのようなテーマパークにて利用されるようなARエンタメコンテンツとは何かをテーマに企画・開発しました。
メンバーは、CEOのtotti・リードデザイナーのdenari・Unityエンジニアのsadaの3名で二日間で取り組んだ内容になっています。
Geo Spatial APIとは?
Geo Spatial APIは、Googleのストリートビューのデータを活用して制作した点群データを利用したVPSのAPIです。ストリートビューは屋外だけなので、屋外でのみ利用可能です。
現在VPSツールはさまざまありますが、屋外で利用する場合、GeoSpatial APIはVPSツールにおいて最も便利なツールになります。具体的には以下の記事にて比較をしているので確認ください。
特に、Geo Spatial APIの優位性は以下になります。
事前に自分で点群を収集する必要がないこと (VPSを利用する際に点群を正確に収集することはコストがかかるためです)
位置合わせ(ローカライゼーション)がとてつもなく早く・精度が高いこと
衛星画像やストリートビューで撮影できている範囲だと利用でき、広範囲で対応していることも有意なポイントになります。
Geo Spatial × テーマパークでのARエンタメ企画
コンセプトは「リアルワールドメタバース」
リアルワールドメタバースとは、現実とデジタルが連動した新しい世界を指します。 Graffityはリアルワールドメタバースの実現をしたいと考えており、以下のようなコンセプトアートを制作しています。
デジタルとリアルが融合したゲームで楽しんでいる
空間上にさまざまな情報やアプリケーションが存在している
空間に広告やデジタル空間の不動産がある
などなど、ARグラスがあたり前になった時に訪れる世界です。
今後テーマパークはDXがどんどん進んでいき、リアルに設置された既存のコンテンツと、デジタルと組み合わせたリアルワールドメタバースで楽しめる新しいコンテンツの2つを同時に遊べる場所へと進化していくと考えています。
従来の入場チケットでリアルのコンテンツを楽しむだけでなく、リアルワールドメタバース用の入場チケットを用いることで、リアルのコンテンツはより楽しめる形へ発展し、さらにリアルにはないデジタル世界のコンテンツも楽しめるようになると考えます。
リアルワールドメタバースでは以下のような体験が新しく楽しむことができます。
テーマパーク内のランドマークでカメラをかざすと、ARフィルターを通してよりIPの世界観に寄り添った演出を体験することができ、お客様はそれを思い出として残すことができる
ランドマークや特定の場所で、IPの世界観と連動したミニゲームを楽しむことができる
アトラクションやショーを見たり・体験すると、スタンプラリーのようにポイントが蓄積されて、全て集めると特別なグッズをもらうことができる
などなど
リアルワールドメタバースを活用することで、新しいリアルと連動した遊びや体験をお客様に提供できると考えています。
Graffity Hack Challengeにて実現したこと
コンセプトである「リアルワールドメタバース」を全て実現することが難しいので、以下にフォーカスしてデモを作りました。
特定の場所にいくと、キャラクターとインタラクションができる
特定の場所にいくと、ミニゲームを楽しむことができる
特定のランドマークにいくと、ARエフェクトによる演出を見ることができる
今回のGraffity Hack Challengeでは、実際にテーマパークに向かっての実装・デバッグは難しいと判断し、代替としてオフィス手前のエリアにてデモ開発を実施しました。
Demo概要
お客様の体験の流れ
以下のような体験の流れになっています。
オフィス前でVPSを起動して、位置調整をおこないます
矢印が表示されるので、矢印の通りに移動します
一つ目のスポットでは、キャラクターとインタラクションをすることができます
二つ目のスポットでは、ミニゲームを楽しむことができます
ミニゲームをクリアすると、3つ目のスポットでランドマークにてAR演出を見ることができます
デモ動画
実際のデモ動画はこちらになります!
振り返り
得られた知見
Geo Spatial APIで任意の場所にオブジェクトを生成する方法
Geo Spatial APIでは位置合わせを行った後に緯度、経度、海抜、方向を指定するとその場所にアンカーを設置することができます
このアンカーの位置が現実空間のその地点と一致するのでその場所にオブジェクトを設置することができます
以下のリンクが公式のドキュメントです。
Geo Spatial APIの仕組みは、特にテーマパークと非常に相性がよい
「外を歩いているとキャラクターに声をかけられる」「移動してキャラクターに会いに行く」といった、屋外体験ならではのインタラクションを、かなりローコストに運用できる点が魅力です。
3DのキャラクターCGと実際に設置されているキャラクター型のモニュメント、これら2つを同じ物語の登場人物にできるため、既存のモニュメント類も活用されると同時に、テーマパーク内をCGで彩ることができると考えます。
事前にLiDARスキャンをして点群を作っておく
現実空間と連動したコンテンツを作る際に、何をどこに配置するのかをUnity上で再現しなければいけません。
コンテンツを設置する場所を、事前にLiDARを使ってスキャンし、Unity上でprefab化した状態で開発を行うことが、開発効率の観点で最もよいという知見が得られました。
躓いたところ
VPSのデバッグやテストは実際にその場所に行かなければならない
Unity上でできることは行い、現場でテストをしますが、例えばリアルの場所と配置したいデジタルエフェクトがズレているという課題があったり、道路上だから危険なので、コンテンツを移動させようという気づきがあったりします。
現場だからこそ気づくことができることがある場合は問題ないですが、そうでない場合Unity上で完結するべきです。
PCのUnity上でアプリケーションを再生し、カメラを動かす形でできる限りデバッグすることで対応しました。
GeoSpatial APIは、オクルージョンは未対応
GeoSpatial APIは、オクルージョンは対応していません。よって、ARKitやARCoreのオクルージョン機能を利用する方針としました。
設置された各ミニゲームについてもXRらしさをより反映していける
例えば今回のミニゲームであれば、オクルージョン機能を活かし、実際に物陰を隠れながら移動するヨイモンの様子が見られるといった機能が考えられます。
他にも、弊社過去事例にあるような身体性を生かした企画や、ARフィルターを生かした企画など、ミニゲーム一つ一つの企画についてもよりリッチなものを作成できるかと考えます。
最後に
Graffityでは、このようなVPS技術や独自ARマルチプレイ技術を活かし「最短3か月で“心を動かす”ARエンタメ」をコンセプトに、AR技術に特化したエンタメの企画・開発と、DX化を支援するスタジオ「Graffity AR Studio」を運営しております。
これまで累計23万ダウンロードを突破したARシューティングバトル「ペチャバト」や、グローバルに展開しているARシューティングバトル「Leap Trigger」など、ARゲームを開発・運営しており、これらの知見を活かし、スピード感を持ってARを活用した“心動かす”エンタメの企画から運用までを、ワンストップでサポートいたします。
スピード感を持って仮説検証を通してAR体験をブラッシュアップしたい企業様はぜひ「Graffity AR Studio」へお問い合わせください。
また、VPSを活用したARエンタメのユースケースを一緒に作りたい仲間も募集しています!