2022年株価暴落、アートはどうなる!?
2021年のアートマーケット
2021年のアートマーケットは非常に好調なまま1年を終えたと言えると思います。
世界で2大オークションと呼ばれるクリスティーズやサザビーズだけでなく、日本のSBIアートオークションやシンワオークションでも活発な取引が行われていました。
特にSBIオークションでの現代アートの若手作家の落札価格の急騰は目を見張るものがあります。また、有名百貨店がこぞってアートフェアと呼ばれる即売会を実施し、2〜3年前にリリースされたエディション作品に1,000万円以上の販売価格が付くこともありました。
このようなセカンダリーマーケットの状況を受けて、有名な作家の作品は販売すれば即完売、抽選があればbotや人海戦術を駆使してプライマリー作品をかっさらう転売ヤーと呼ばれる人達も問題になっています。これは、買ってすぐ売れば利鞘を取れるためで、さながら人気のスニーカーやIPO株のような扱いです。
「色の付いた株券」とも揶揄されるように、今や現代アート作品は投資商品なのです。
活発なアートマーケットの背景
では、なぜアートマーケットに多額の資金が集まるようになったのでしょうか?
1つの大きな要因としては、金融緩和によるカネ余りが挙げられます。FRBによる金融緩和の影響で、株式や債券、不動産に美術品までが高騰し、余波で仮想通貨まで高額取引されるようになりました。
要は、市場に溢れたマネーが投資先を探していたのです。
金融緩和量と仮想通貨高騰には明らかな相関関係があり、この相関は美術品の価格も例外ではありません。
特に、2021年の株式市場はGAFAMなどに代表されるハイパーグロース株と呼ばれる急成長中のITやハイテク企業の株価が軒並み急騰しました。
また、現代アートにおいても急成長を期待される若手作家がそれを織り込むようにどんどん価格が上がっていったのは面白い現象だと思います。
2022年のアートマーケットはどうなる?
さて2022年、テーパリングの終了を仄めかすFRBの発表を受けて株式市場は連日の大暴落を続けています。
金融緩和量と相関のある美術品はこの煽りを食らわざるを得ないでしょう。
しかし、暴落を続ける株式市場と違ってアートマーケットにはその特徴にいくつかの違いがあります。
その違いとは例えば、下記のようなものです。
・投資商品として扱われるが、本来は嗜好性の高いものである
・株式ほど流通量や流動性が高くない
・PERやPBRなど時価が割高/割安を示す明確な指標がない
これらの特徴から、株や仮想通貨と違ってテーパリングの終了と同時に直ちに価格が暴落することは考え辛いです。
ただし、投資/投機的にアート作品を購入している人達がいる限り、影響は避けられないでしょう。
では、どのような人達の作品が特に影響を受けるのでしょうか?
アートマーケットが株式市場の影響を少し遅れてトレースするならば、やはりハイパーグロース株と似た傾向のある作家の価格帯に影響があると考えるのが妥当だと思います。
つまり、今後の成長を見込まれて価格が高騰した若手作家たちは暴落に見舞われる可能性が高いです。
具体的にはSBIやシンワオークションで数百万円で取引されている作家たちです。(※参考:2022年01月末のSBIアートオークションの結果リンク)
逆に、株式市場においても金融緩和の影響を受け辛い銘柄も複数あります。
それはバリュー株と呼ばれる、売上げの伸び率や利益の成長率が低いが安定して収益を上げる成熟企業の株です。
これをアートに置き換えると、すでにアートマーケットからの評価が安定している中堅・大御所の作家たちです。
彼らの作品は去年のアートバブルに巻き込まれておらず、急騰もしていないかわりに暴落することもないでしょう。
つまり、2022年アートを投資的に購入するのであれば彼らのような作品を検討するのが無難でしょう。
具体的な投資先としては、国内最大級のアートのECサイト「tagboat」を運営する徳光氏の下記の著書などが参考になるでしょう。
アートに関わらず2022年のマーケットは不透明な状況が続くことが考えれられるため、これまでの買えば上がる言う状況はもはや期待できないでしょう。
アートの投資を行うのであれば、作品の観察眼や美術史だけでなく経済状況などにも注視しながら慎重に行うことが求められてくると思います。
まとめ
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