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夏のよりみち、みなとまち。(ZeppTour2024atYokohama 最終公演)

Now & Here #35
2024年初夏、Zepp Tourで逢いましょう
佐野元春&TheCoyoteBand
at KT Zepp YOKOHAMA
2024年8月1日(木)

鳴りやまない拍手、熱い歓声、みんなの笑顔

客電が灯り、からっぽの舞台。
まだ消えてない 
アンプリファイアのノイズ
空調機の唸る音。

あぁ、どうしてみんなそんなに急いで
ここを立ち去るの?
ぼくはまだこの席に座り込んで
からっぽの舞台をぼんやりと
眺めていたいのに…

目の前で起こった事実を
まだ整理できていないまま
脳裏に焼き付ける作業が
自然と始まってる
ずっとこのままこうしていたかった。

スタッフの方の呼びかけが聞こえる
ぼくもボヤボヤしてられない
現実に戻る準備も始めなきゃな…。

この日は、会社の夏休みを申請していて
昼間は特にすることなく、
なんとなく雑用を済ませてから
気分だけがソワソワしていたので
少し早めに家を出た。

時間が早かったので横浜駅西口の
ディスク・ユニオンに立ち寄った。
珍しいホール&オーツの
アナログシングル盤BOXがあったけど、
我慢した....

ヒトの流れをかいくぐって西口から東口へ

開場時間は過ぎていて
ロビーでは佐野元春のことが大好きな
みんなであふれかえっていた!

思い思いに佐野フリークスが
楽しそうに談笑してる!
ぼくはおまけの缶ビールを
グイっと飲みほして
早速、今回の席へと向かう。

席の番号を確認して着席、鼓動が高鳴る。

ぼくは落ち着きなく立ったり座ったり。

メインのマイクロフォン、敷かれた絨毯、
アンプリファイア、ドラムスのセット、
そして電子ピアノのウーリッツァー。

スタッフが舞台のチェックで忙しく立ち回る。

いつもの開演の前に鳴ってるはずの
音楽が耳に入らない…。

開演時間が過ぎると
舞台監督の稲葉真奈津さんが
オープニングMCで景気付ける!!
「今日はZeppTourで逢いましょう2024
追加公演 最終日!!
ぶち上げていきましょう!!
佐野元春&The Coyote Ba~nd!」

ハイハットのカウントが鳴り響き
ギターがうなりを上げ、
重厚なグルーヴが会場を
ブルースフィーリングで揺さぶる

「君をさがしてる」

デヴュー35周年のグランドロッケストラで
鳴らされていた音をベースにさらに
鋭角さを増した音が会場を包み込む。

そして新たにサウンド、リリックも
再定義された「ヤングブラッズ」!!
ノーザンソウルに根差したサウンドを
さらにコヨーテバンドならではの
音として目の前で炸裂した!
現在に照らしていながら、レコードでは
かつて1985年リリースされた時の
ストリングスアレンジや声が
こだましているのを感じる。

つづく、「ジュジュ」
オリジナルのサウンドとも
ホーボーキングとの
モータウンアレンジとも違う。

かつてナポレオンフィッシュツアーで
ハートランドと共に奏でられた
アレンジがベースになっていると思う。
ゴツゴツとしていながらスピードがある
パンキッシュな破壊力を秘めた
コヨーテバンドらしいサウンド!

「誰かが君のドアを叩いている」では
もともとコヨーテバンドを前提に
作られていていたかのように
自然なドライヴ感がみなぎっていた。

そして、今回のツアーの核となる楽曲
「欲望」「インディビジュアリスト」

佐野元春が提示する再定義は
今にはじまったわけじゃない。
デヴューしてライヴをハートランドと
始めてからずっといつももっと
今この時に鳴らすべき音を目指して
楽曲の核心を見据えながら
その時々の景色に適切な(もしくは過激な)
アレンジを施して、鳴らして、試していた。

コヨーテバンド結成以降の楽曲は
LIVEで鳴らす事を前提にした編曲

その楽曲は最終形が整えられ
録音され、誰かのもとに舞い降りて
それが目の前のLIVEで再び出会える事。
それは何にも変えがたい喜びであり
とても幸せな事です。

そして、この最強のセンスと
技術を携えたコヨーテバンドは
数え切れない佐野元春が
生み出した楽曲、
その中でも生き生きとした魂を
宿した楽曲たちを、今を生きる
自分たちにしか描けないやり方で
新たな命を吹き込んでいるように思う。

わずかな静寂に浮かび上がる
ギターのアルペジオ

「世界は慈悲を待っている」Grace!

「愛が分母」でも残酷な世界さ…。
苛立ちがにじむマイクアクション

現実のもどかしさを
抜群のグルーヴで畳み込む
「銀の月」
さらにロック!「純恋」
エンタ!エンタ!!「エンタテイメント!」

繰り返すあたり前の日常
ほんの少しのはずみで
崩れてしまいそうな世界

残酷な朝はまた訪れる
迷いとほんの僅かな望みで
歩き出す男の物語

サウンドは君の世界、ぼくの世界、
誰かの世界を映し出す。

「La Vita e Bella」

この惑星の夏の終わりを
先を見通すことが出来ないカーブで
コヨーテバンドと佐野元春の
オープンチューニングの
アコースティックギターは
比類のグルーヴで揺らぐ
この先の日々をたぐり寄せる。

「東京スカイライン」

そして、最新アルバム「今、何処」からの
畳みかけるいくつもの最強の波動が
ぼくの心に 今、確かな生のしるしを
灯していたんです。

すべてのオーディエンスの
心を鷲づかみにしてして舞い上がる
「禅ビート」
ドラムスの音とグルーヴが
体と心に沁み渡りメイソウして
何処かへ飛んで行きそうだよ。

目の前のギターの指版を
駆け巡る情熱で沸騰した
藤田顕さんのギターソロ!!
今でもありありと目に浮かびます。

ひとつひとつの瞬間が胸に焼きつている。

この場に立ち会うために
生まれてきたんだろうと思う。

計測できないほどの風速で
吹っ飛んでいく日々。

取り返しがつかないのは
わかってるけど、眺めてる。

2024年の夏がもうすぐ終わり
この嵐は夏を連れ去る。

あと何度 あなたに逢えるだろう?

節目の時が近づいて来ている。
すべてをスタートラインに戻す時期。

道はいつでもオープン。
いくつもの選択肢。
決めるのは自分次第。

あぁ、どうしてみんなそんなに急いで
ここを立ち去るの?
ぼくはこの席に座り込んで
からっぽの舞台をぼんやりと
眺めていたいのに…

どうもありがどう。

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