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あの声の持ち主はいったい誰だったんだろう

偶然が重なることについて、書いた記憶がある。
最近、偶然が重なることに頻繁に気づくので、このことについて再び書こうと思っていた。
私には、霊感だとか、第六感のようなものはなく、ただ何となくこうした現象について書こうかと思っていたのだが、特別な能力はおろか、自分が書いた記事を見つける能力さえないらしい。

母には、若干何かが備わっているようである。
霊現象だとか、スピリチュアル的なことを否定するくせにだ。


高校の頃の担任の男性の先生に、ある日母は言いそうになった。

今、先生の周りで遊んでいる女の子、誰?

私はその場にいなかったため、これは母から聞いた話なのだが、その女の子は、すぐに消えてしまったとか。
しばらくして、先生には女の子が誕生した。


過去にさかのぼり、母がもっと若い時、知人に、

あそこでいつも座っているおばあさん、どなた?こういう服を着て、こういう感じで…

と尋ねたところ、「そのおばあさんなら、ずいぶん前に亡くなってますよ。いつもそこに座ってたんですけどね」と言われたらしい。
こちらも母から聞いた話である。

その他にも、不思議な現象についての逸話は数知れないが、そのどれもが、母から聞く話である。
つまり、私にとっては、それが本当の話なのか、母が夢でも見て、それを現実だと思い込んでしまっているのかわからない。

母は、私が生まれる前、夢を見たそうだ。
仙人のような老人が、小さな巻き毛の女の子を連れて「これがお前の子だ」と言ったらしい。
女の子の足元は霧のようなもので隠されていたそうだ。
当時、超音波診断なんてものがあったかどうか知らないが、それほど裕福でなかった夫婦には、超音波診断を受けるお金はなかっただろう。
だから、男女どちらが生まれるか、母にはわからなかったはずだ。

そして、生まれた女の子は巻き毛であった。
足元が隠れていたのも、私に障害があることを予期させるものだったのではないかと、はっきりとは言わないまでも、そんなニュアンスで母は言う。

そんな母の元に生まれた私には、不思議な体験や、人には見えないものが見えるといった体験はない。

ただ1つを除いては。


我が家は細い路地の突き当りにあり、その路地には砂利が敷かれている。
人が歩けば音でわかる。

ある夜、22時頃か、23時頃か、もしくは0時頃なのか。

ザッザッザッ

と砂利が鳴る音がする。歩いてはいない。誰かが小走りしている音だ。

ザッザッザッ

私には、その音がかなり切羽詰まっているように聞こえた。
次の瞬間、若い女性の叫び声が聞こえた。

きゃーっ!私、殺される!

もしかすると、私も殺されるのかもしれないと、身をこわばらせたが、それからは何の音もしなかった。
近所で窓や戸が開く音もしなかった。
その夜、眠ったのかどうかわからない。しかし、あまりにも衝撃的な声だったので、翌朝母に話した。
母はそんな声聞いていないという。
念のため、近所にも聞いてもらったが、やはり声は聞いておらず、その時間にそんなテレビ番組もなかったようだ。

私が聞いた、若い女性の声は、夢だったのだろうか。

それとも…

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