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そのときMitsukoはコタツの中にいた

「うちにこのボトルなかったっけ?」

と、Guerlainのリーフレットを開いてMitsukoのボトルを指さし、母に尋ねた。
母はNo5は持っていたけどGuerlainは覚えていないという。そもそもGuerlainが何者かすらわかっていないようだった。

そういえばクラシックな香りをあまり嗅いでこなかったなと思ってGuerlainとChanelのお試し香水を何本か取り寄せた。
その中でまずL'Heure Bleueを試した時、子供の頃、家で嗅いだことがあると思ったのだ。
L'Heure Bleueの香りが家にあったか知りたかったのだが、リーフレットの写真が小さく、もうだいぶ視力が落ちた母には見えないだろうと思い、もう少し大きく写ったMitsukoの写真を指差した。
MitsukoとL'Heure Bleueは歴史的経緯から同じボトルを使用している。

母はそのボトルに見覚えはないという。試しにL'Heure Bleueを嗅がせてもみても覚えていないとのことだった。

Guerlainといえばひとつ覚えていることがある。
子供の頃、庭に野良猫がよくやってきて、家に上げ可愛がっていた。冬になるとコタツに入って温み、しばらく経つと帰っていった。猫のにおいのせいだったのか、ある日母は手持ちの香水をコタツの中に振りかけた。小さな瓶だったがまさしく振りかけた!というぐらいの量だったと思う。

そしてコタツの中でそれは匂いではなく「臭い」だった!(涙目)

当時は今以上に香水は高価なものだったに違いない。我が家はけして裕福ではなかったので、誰かからいただいたものかコピー品だったかもしれない。とにかくあの匂いはMitsukoのように思う。そしてそのボトルのラベルを私は見ていないが、小さな瓶は特徴的な形状だったような気がするのだ。

それにしてもL'Heure Bleueは確かにどこかで嗅いでいる。店頭ではない。
いったいどこで嗅いだのだろう…


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