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醸造期2024が始まりました

8月末に始まった、ブランドブラン(スパークリングワイン)の収穫から始まった2024年の仕込みも、折り返し地点まであと少し。

雨も少なく、順調に推移をしていったブドウの生育期。
そして、『Grace Blanc de Blancs 』の収穫が迫る中、台風10号の影響を受け、予定していたシャルドネの一部を『Serena Extra Brut』に落とすなど、苦しい決断を迫られるスタートとなった2024年の収穫でしたが、発酵中の良質な香りが醸造所に広がったとき、「よし、いける!」と思いました。

シャルドネ

そして、9月に入り、夜温が下がるようになった季節を狙い、『キュヴェ三澤ブラン』のナイトハーベストへ(夜間から明け方にかけての収穫)🌗
明け方、ナイトハーベストが終わると、直ちにブドウの圧搾作業を行います。ナイトハーベストの日は、翌日の夜に仕込みが終わるまで徹夜となりますが、身体がもつ限り、極めてみたい分野のひとつです。

ナイトハーベスト中のシャルドネ

その後、メルロへと続いていきます。
収穫や選果で丁寧に選んだブドウは、醸造所で静かに発酵が進んでいます。

選果作業


発酵中、一日に何度もゆっくりと抽出作業を行います。そうすると、ブドウの成分が果汁に溶け込んできて、日一日と色も風味も濃くなってきます。
その様子を「まだいけるかな」とよく観察しながら、あきらめずに丁寧に抽出作業を繰り返します。ブドウ栽培でも、雨天が続くと「収穫しなくては」という気持ちになりますが、熟度を待つ粘り強さは大切だと思っています。
あきらめない気持ちは、共通しています。

ボルドーでの留学時代、教授がおっしゃっていた「ワイン造り自体は難しいことではないかもしれないが、良いワインを造るのは至難の業だ」という言葉を思い出します。

そして、前半戦のハイライトは、『三澤甲州』の収穫でした。
まだ、甲州は、全体の2割ほどしか収穫していませんが、驚いたのは1本目です。
糖は20度、酸が9g/Lという、分析値だけ見ると、フランス留学時代に見聞きした、ドイツの白ワインのよう。
猛暑と謳われた2024年でしたが、猛暑だから酸が無くなるというのは、表面的すぎてしまいます。
現場には、自然や植物、微生物たちのドラマがあり、甲州の底力を見た思いがしましたし、まだまだ知らない甲州の表情がたくさんあるなと感慨深いものがありました。
難しい年には難しい年なりの気付きやおもしろさがあります。

ワイナリー犬のコウシュウ


今週末からは、太陽も戻ってくるようです。いよいよ、カベルネフランの収穫に入ります。

今日は、プティヴェルドの区画を見回りました。フランスに留学していた当時にはたった二つしか存在しないと言われていたプティヴェルドのクローンですが、三澤農場の小さな一区画には5つもの系統が植えられています。

同じプティヴェルドという品種でも系統によって違う顔をしているものです。
大好きな映画『おかえり、ブルゴーニュへ』の中で、主人公の女性醸造家が「私はアリゴテの女王になんてなりたくない!」と叫ぶシーンがありますが、アリゴテとシャルドネといった品種差の優劣もなく、系統の違いとは、平等で博愛的な世界のように感じられます。

三澤農場の夜明け


僭越ながら、本日は告知もさせていただきます🍷
10月10日(木)NHK (総合 ・全国)「あさイチ」に少しだけ出演させていただきます。
番組内のコーナー「愛でたい Nippon in 山梨」にて、勝沼のブドウ畑とグレイスワインの甲州を紹介していただきました。よろしければご覧ください。

NHK+(プラス)や、NHKオンデマンドでもご視聴が可能ですので、よろしければご覧ください。

NHK+(10月16日まで)
*NHK+(プラス)はログインまたは初回利用登録が必要となります。


こちらの『25ans』の記事も合わせてお読みいただければ嬉しいです🍇


残りの収穫も楽しみながら、頑張ります🍷

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