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北欧の理想郷とパリ症候群から思うこと

北欧の理想郷を信じない自分の幸福論

北欧のある国が幸福度No.1と言う話しをよく見聞きします。
私は夫がフランス人なので、
北欧を含めた大陸的なコミュニケーションやヨーロッパの社会構造がどんなものなのか?大体の想像はつきます。

私自身が海外で生活をするようになってから13年以上経ちますが、
このヨーロッパ特に北欧の幸福ブームに対して
最近ある疑問を抱くようになりました。
それは、
”なぜ日本人は自分の国の幸福度についてはほとんど言及したがらないのに、
よその国の幸福度にはオープンマインドな姿勢を示すのか?”
と言う疑問です。

北欧の理想郷もタックスヘブンと呼ばれるドバイも、
要はその国で生まれ育った人達が
将来的に自国へ利益還元を行いやすい社会システムを、
国民に対して提供(社会保障など)しているだけで
その国の方針の中で、いかに自分の幸福度を上げるか?は、
結局個人の価値観とライフスタイルの違いによるところが
大きいのではないでしょうか。

仕事が午後4時に終わったり、
家族を第一優先にする人生はなにも北欧に限った事ではありませし
「子供は社会が育てる」と言う社会システムも、
実際フタを開けてみると
結局は母親メインに偏っているパターンが少なからず
傾向としてあるようです。

老後の暮らしもしかり、
年老いた両親にも最後まで自立、個人主義を貫く姿勢は
どこか孤立、孤独に似たような様相を見せ付けられている感覚があります。

宗教的背景と見返りの文化

一方で私が暮らす中東はイスラム教の国ですが、
欧米的な考えとは逆で
親を老人ホームに入居させると言う考え方がありません。
育ててくれた親を今度は子供達が一丸となって支える社会と
自立がままならなくなった親を社会のサポートによって
支えてもらう個人主義的な考え。

一体どちらが良いのか?は
その国のシステムの中で生きる人の文化や、
受け継がれてきた習慣によって様々な考え方に枝分かれしています。

さてここまでの話しを踏まえた上で、
そもそもなぜ幸福度アンケートの結果を世界に向けて
公開する必要があるのでしょうか?
それにアンケートの信憑性は本当に質が良い質問内容と
回答になっているのでしょうか?

幸せは個人の価値観によって大きく違うし
幸せの定義も千差万別。

まずはこう言ったメディアに惑わせれない
自分だけの幸福論を持つ大切さを、
改めて学び直す良いきっかけになるかもしれませんね。


パリ症候群と日本人女性

話は北欧から少しそれますが、
この日本人のヨーロッパを美化しすぎる国民性は
パリ症候群と呼ばれる、特に日本人女性が罹りやすい
鬱のような病を引き起こす原因にもなっています。

理想と現実のギャップに酷いカルチャーショックを受け
描いていた理想のパリが本当はこんな所なんだと分かると
やり場のない悲しみと絶望感を抱いてしまうのです。

でも…なぜ日本人女性だけがパリ症候群に罹りやすいのか?

その理由は、
北欧の話しの部分でも触れたように、
特に東アジア人は大陸的なコミュニケーションを経験する場面が
他の先進国の女性に比べて圧倒的に少ないからではないでしょうか。

さらに日本の生活インフラは、ほとんどの地域で正常に24時間稼働し、
安全性に関しては世界一では?と思うほど。
暮らしの中で不便さや不愉快を経験することはとても稀なことです。
ですが、これが一転海外に出るとそうは行かなくなります。

教育方針の違いから始まり、
個人主義の文化で育つか、または集団主義の中で育つかで
人の価値観や性質も丸ごと違ってくるわけですから
ヨーロッパのしかもアンフレンドリーと言われるフランスで
さらにパリと言う場所において、
控え目な日本人女性が心の病にかからずに
パリジェンヌのように生きられるのか?と言うと
それはほぼ不可能だと思います。

パリも幸福度No.1の北欧の国も
良いところはもちろんたくさんあると思います。

しかし日本のメディアが拡散する海外情報は、
ポジティブな面しか伝えていない内容がほとんどです。
自分の身を守るためにも、
書籍をはじめメディアの情報には一定の距離を保って
賢く利用するべきではと考えています。

有限の貴重な人生の時間を
憧れと夢だけで無駄に過ごしてしまわないように。
まずは自分自身の世話、
それから家族、そして地域、国へと。

自分のオリジンをよく理解している人ほど
海外での暮らしも並行して
上手くいっている印象があります。

そして日本の歴史や文化を
ここぞと言う時のために教養として備えている人は、
英語や現地の言葉が流暢に話せるだけの人よりも
たくさんの人から慕われ関心をもたれます。

誰かの何かの模倣品にならないように、
まずは自分の国、日本についての知識を深め
改めて自分を育ててくれた国に恩返しをするくらいの
心持ちでぜひ海外に旅立たれることお勧め致します。

今回の記事がどなたかの参考になれば嬉しいです。
グレイス





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グレイス-中東で子育てをしながら環境問題を考えるベジタリアン主婦
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