全否定されたレシピ
4月25日&26日はGRACEFUL SWEETS EXPERIENCE PROの2DAYS
生徒さんは、本当にお菓子づくりが大好きで、人生を賭けてたくさんの
自分らしいレシピも作り上げて
夢だった、自分のお菓子教室を立ち上げた。
それからまもなく、突然、大病を患っていることが判明する。
「4」と書けば、わかる人はわかる、そういう病。
手術等をして、復活もして、
洋菓子ではなく、身体のことなどを考えて植物性のお菓子のほうに
シフトしようと参加してくれた。
講座では、主役は生徒さんで、
多くの生徒さんは、お菓子を通じて何かをしたい方が多いから
その夢を叶えるのに最も重要なことのひとつが
「自分の言葉」をもつ。ということだったりもする。
それは話すのが苦手、書くのが苦手とか関係なく、
すべての人に備わっているもの。
あなたの中に存在する「自分の言葉」がいちばん、人の心を震わせるから。
その生徒さんが体験したこと。
何よりも辛かったことは、病気になって、食事制限もしなければならなくなって
それまで、人生で誇りだった
自分のレシピを見るのが辛くなってしまったこと
生き方もレシピも全否定されてしまった。
今でもまだ、心の整理ができていなくて、そのレシピたちは
見れないまま蓋をしたようになっている。
私と同じような経験は、決して誰にもしてほしくない。
ヴィーガンスイーツを学ぶ前に、僕は
その最高のレシピたちを、弔うことから始めませんか?
と伝えた。
お菓子を弔う。なんて言葉がおかしいかもだけど
病を経て、食事制限の結果、味覚等も変化してしまったから
本人も洋菓子をかつてのように同じように美味しく感じられる体質ではなくなって
それまで最高だったレシピが、今作って食べたら最高ではなくなって
しまっているかもしれない。
不安、ショック、言葉にならないいろんな感情が湧き出て
でも、人生を賭けたレシピは、もうあなたが楽しめなくても
それまでのあなたが築き上げたレシピは、誰かを幸せにできる。
お菓子教室で病気になってお休みしたときに、
誰か一人くらい、「私が先生のレシピを引き継ぎたい」という生徒さんは
いなかったですか?と聞いたら
そう言ってくれる子がいたと。
病によって全否定されたレシピを
辛い記憶として残すのか? それとも未来へ繋ぐのか?
生徒さん自身の思いで、未来は変えられる。
過去の事実は変えられないけども、過去をどう意味付けするかは変えられる。
その瞬間は、絶望的なことでも、10年後、その出来事があったからこそ
今の自分がいると言える体験は多いように
過去は変えられる
瞳から涙を流しながら、
自分の子供みたいな大切なレシピを見ることが辛いなんて経験を
することになるなんて夢にも思ってなかったと言った
彼女の言葉はとても深いものだった。
お菓子作りが大好きな人に
健康だけは、人の3倍気をつけてほしい。
あなたが自分の最高のレシピを
見ることが辛くなることだけは
決して、ないように。
あなた自身があなたのレシピを
全否定するようなことだけはないことを願って。