植物性のお菓子の美味しさに人々が目覚める時代
グレイスフルスイーツという「植物性のお菓子」をつくっていると
「ヴィーガン」「マクロビオティック」などの食の拘りだったり
「動物性食品を使わない、乳製品、卵などをNG」みたいな
そういう「人」だったりに思われる。
僕が、植物性のお菓子を今、仕事にしている最大の理由は
日本人にとって、和菓子、洋菓子に次ぐ第3のお菓子になる可能性があるから
にほかならない。
というのも、そもそも伝統的な日本の和菓子は「植物性菓子」であり
意外とたくさんのお菓子が「ヴィーガンスイーツ」に分類もできる。
ただ、日本人の誰も、和菓子をみて「植物性菓子」とか「ヴィーガンスイーツ」
なんて思わないですよね。卵は元々使っていたりもするし
和菓子は「植物性の素材」でつくることを決められたお菓子ではないし
実際に現在では、和菓子にも生クリームやバターなどの乳製品と
組み合わせて新しい美味しさを追求していたりもする。
伝説のレストラン「エルブジ」のフェラン・アドリアさんが
エスプーマという今ならレストランとかでよく見かける
亜酸化窒素ガスによって素材をふわふわなムースにする道具を
開発したのですが、
日本で出会った、ゆず、生姜、わさびなどの繊細な素材でムースを作りたかった時に、ムースには卵黄や生クリームを使用するのが基本のため
どうしても、卵や生クリームの味がまさってしまって
日本の素材の繊細さと相性が悪い。
そこで、生クリームや卵を使わずに、ムースを作れるようにしたいという
発想から、エスプーマが生まれたと、全く記憶がないのだけどどこかでその話を聞いた覚えがあって。
その話を聞いた時に、
「あーーーーーーーーーーーーーー−!!!」って思ったんです。
生クリームは美味しい。そもそも脂肪分を47%とか含んでてそのまま
食べて美味しい「食材」なんてないんですよ。
バターもほぼ油脂なのに、パンケーキにのせて溶かして食べても美味しい。
乳製品って人類が出会った奇跡的な食材の最高峰だと思います。
だから、洋菓子といっても、基本的には
生クリームの奇跡的な形状記憶性にお世話になっていて
焼き菓子もバターの圧倒的な風味にお世話になってる。
そこにまた奇跡的な素材の卵との相性も完璧で
乳製品と卵の組み合わせを極めていったら、凄まじく美味しいものが
できるようになったのが「洋菓子」の世界と僕は感じていて。
それとは全く違うけど、世界で最も特殊で独自の世界観を持つのも
日本の和菓子。
明治時代までは日常的に乳製品をみんなが食べる習慣がなかったから
当時日本で手に入った食材だけで、
季節を表現し、芸術的な世界観を表現しているのも偉大なわけです。
フェラン・アドリアさんという、世界の料理の中でも天才的な人が
乳製品と卵の味が日本の繊細な素材にはあわない。と言っていたのなら
純粋に美味しさという意味において、
「乳製品」も「卵」に頼らない方が
美味しいお菓子という領域は可能性がたくさんある。
まだまだヴィーガンとか植物性で作られているということに
フォーカスされがちだけど
純粋に美味しさと、胃にもたれることのない優しい食後感などで
こうしたお菓子も世の中にどんどん増えていってほしい
きっと洋菓子の一線級のプロのパティシエさんでも
こうしたお菓子を差別化として手がける方もこれから
たくさん増えていくるように思うし
どのパティスリーにも、数種類くらいそういうお菓子が
当たり前に並ぶ時代になるといいなと思うのです。