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VUCA(ブーカ)の時代だからこそキャリアを!
VUCA(ブーカ)とは、「将来の予測が不可能な状況」を意味する言葉で、ここ最近ビジネスシーンで使われることが多くなってきました。
VUCAの時代はあらゆる要素が不確定な要素で構成され、これらが複雑化し予測不可能な時代です。
これまではある程度、過去の経験から推測できていたことでも、技術革新や人々の価値観の多様化により、考えもつかない事態に進んでいくことが考えられます。
例えば、これまではオフィスに出勤して勤務することが多くの社会人にとっての常識でした。
しかし、コロナウイルスが流行しはじめてからは在宅勤務が推奨されるようになりました。
10年前の常識は、もはや過去のこと。現在の常識も、変化の早いVUCAの時代においては、一瞬にして新しい常識に塗り替えられていきます。
AIが奪う仕事とその傾向
不確実な未来の中でも、私たちは生活をしていかないといけません。そのためには自らのキャリアをどう形成していくのか、所属している業界がどう発展していくのか、社会情勢がどうなっているのかを複雑に絡み合った情報の中で考えていく必要があります。
経済産業研究所「AIが日本の雇用に与える影響の将来予測と政策提言」」では、AIが導入された後、増える見込みの仕事は『技術系専門職』、『営業・販売』、『事務系専門職』が上位であり、減る見込みの仕事は『一般事務・受付・秘書』、『総務・人事・経理等』、『製造・生産工程・管理』と掲載されています。
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出所)経済産業研究所「AIが日本の雇用に与える影響の将来予測と政策提言」
私たちの働き方はかつてない速さで変化しており、デジタル化や人工知能(AI)、機械学習によって、低技能や中技能の定型業務を伴う仕事の多くが自動化され消滅していくと予想されています。
自動化がさらに浸透していくこの傾向は、とりわけ女性に厳しい課題をつきつけるだろうことが IMF の研究でわかっています。
自動化によって男性が仕事を失うリスクの平均は 9%であるのに対し、女性が仕事を失うリスクの平均は 11%です。
自動化が理由で失業している男性も少なくはないものの、30か国で2,600万人の女性が今後20年間にテクノロジーに仕事を奪われるリスクの高い仕事(自動化される確率が 70%以上だとする)に就いていると IMF は推計しています。
自動化で仕事を失うリスクの男女差は国によって違うこともIMFは示しています。
下の図は、縦軸に「自動化されるリスクの差(女性対男性)」を示し、横軸に「女性の就労率」を示しています。
「自動化されるリスクの差(女性対男性)」とは、自動化で職を失う可能性が高い女性の割合を自動化で職を失う可能性が高い男性の割合で割った数字であり、1よりも大きいと女性の方が職を失う可能性が男性よりも高い。日本は、3.4程度であり、女性の方が職を失う可能性が男性よりも 3.4倍高いことを示していて、日本の女性が最もリスクが高いことがわかります。
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出所)ファイナンス & ディベロップメント(2019年3月)「男女格差の解消をさらに前へと進める」
キャリアアップ・キャリアチェンジを考えるなら
AIが導入された後、増える見込みの仕事は『技術系専門職』、『営業・販売』、『事務系専門職』ですが、技術系専門職なら、大量のデータを分析して有用な情報や洞察を引き出す専門家であるデータサイエンティストなどがあげられると思います。数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(文部科学省「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」)では、デジタル社会の基礎的な素養としての初級レベルの数理・データサイエンス・AIを習得することを目指す「リテラシーレベル」と、自らの専門分野において、数理・データサイエンス・AI教育を応用・活用することができる応用基礎力を習得することを目指す「応用基礎レベル」がデータサイエンティストの教育プログラムには必要といわれています。
事務系専門職として、サステナビリティ領域では大きな変化がおきています。
サステナビリティ情報を有価証券報告書等で開示していくことが、企業規模に応じて段階的に義務化される方向です。
第三者保証についても、早ければ、大手企業は2028年よ
り義務化が適用され、今後はプライム上場企業全体にまで広がる予定です。
これまで、グループ企業も含めた範囲で第三者保証を取得したことがない企業は、義務化初年度に連結対象全ての組織を対象に保証を取得する必要があります。
この大きな変化に対応すべき、大手企業のサステナビリティ担当者は、様々な資料を準備したり、審査機関との窓口対応をしたり、往査する拠点とのやりとりをしたり、高い作業負荷がかかります。
そのため大手企業においてもサステナビリティ領域での増員がおきています。
また、大手企業を含め、サステナビリティ情報を有価証券報告書等で開示し、独立第三者による保証を受けるため、第三者保証を行う企業、団体においても増員の流れになっています。
サステナビリティ領域はこれからも伸びる業界でありながら、未経験や異業種からのキャリアチェンジ、キャリアアップも多く行われていて、これからのVUCAの時代を生き抜くキャリア形成の一つと認識している人も多いです。
キャリアチェンジと親ブロック
「親ブロック」という言葉は最近の就職・転職活動の場において聞かれるようになった言葉です。
新卒採用だけではなく、既に社会人として活躍している方の転職活動においても親ブロックが起きています。
親世代は、社会の第一線で働く社会人として不況を経験している世代です。そのため自分の子どもには不況に強く、解雇の不安がない仕事についてほしいと考えている人が多いです。
VUCAの時代では「大企業=安定」という考え方は正しくないのかもしれません。けれど、大企業が先導する経済社会を生きてきた親世代にとっては、今でも大企業は安定の指標です。
さらにこれから伸びると言われているIT業界は過去に一部の企業において過重労働など報道があったことや、サステナビリティ領域の企業においては社歴が浅い企業も多いため親世代からは「大企業=安定」でないということから転職に対して反対してくる可能性もあります。
ただ、今まで自分の考えだけでは思いもしなかった視点に気づいて、親の気持ちを理解する機会になることもあるため、親の意見に耳を傾けずに断るのではなく対話を続けましょう。
親の説得について
まずは誠実にそして冷静に対応することが一番大事です。
転職をしたい理由を丁寧に話すこと、親が納得できるまで業界の説明を行うこと、転職後のプランの説明をするなどが有効です。
特に残業や通勤時間の変更やリモートワークが増えるなど同居している場合は変化が生じる可能性などは事前に説明しておくともめることが少なくなります。
一番は内定が出てから話すのではなく、転職活動を始めた時から親と対話をしておくのがよいでしょう。
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【グリーンジョブのエコリク 概要】
環境サステナビリティ領域の人材サービスを長年行っている株式会社グレイスが運営する求人サイトです。サステナビリティ、CSR、ESG、SDGsに関わる採用・就職・転職のサポートをしています。
【執筆者】
神戸 修(こうべ おさむ)
株式会社グレイス ゼネラルマネージャー
大阪学院大学 流通科学部流通科学科卒
学生時代より、就活・キャリア支援のサークルを立ち上げ人材ビジネス会社、給食会社にて法人営業、採用、広報業務に従事
アニュアルレポート、統合報告書の作成
東日本大震災等では現地の医療関連従事者の業務サポートを手がける
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