似非エッセイ#07『厄介もの』
自分の中に確かに存在しているのに、決して表に出てこない奴がいる。
時に言葉であったり、思考であったり、表情であったりする。形を変えたがる奴らしい。
こうして文章を書いている時なんかは特に逃げ足が早い。そのくせ時々「鬼さんこちら」と挑発してくる。
お前の目的は何だ?というかお前は何なんだ?
肝心な質問には一切黙りを決め込む。
僕が小説を書くのは、こいつの正体を暴くためなのではないか。そんな気がしている。
だったらこの先もうまく逃げ続けてくれよ。そう願う自分もいる。
ああ、もう、まったく。
手の鳴る方へと、また追いかける。