似非エッセイ#08『世の、中で、今』
新人賞応募のための小説執筆に集中していたため、約1ヶ月ぶりの似非エッセイ。
相変わらず仕事は休みの方が多いという状況だが、給付金も無事に振り込まれ、休んでばかりの割には経済的には珍しく余裕がある。
しかし、いつもより暇もお金もあるというのに行動にはまだ制限がある。
あまりにも色々な面でちぐはぐし過ぎていて、まるで現実のすぐ隣の穴ぐらで身を潜めているような感覚だ。
喩えるならば現実世界とのかくれんぼ。
もし見つかってしまったら、本来過ごすはずだった現実に戻される。
週に5日働き、その対価としてはやはり物足りない収入で1ヶ月をどうにか過ごし、たまの休みは疲れを癒すだけであっという間に終わってしまう。
これまで当たり前に過ごしてきた日常だが、マイナス面が際立ってしまった暮らし。
それでも、社会にまとわりついている過ごしにくさ、つまり他人との距離を過敏に気にしたり、あらゆるエンタメが満足に楽しめない現状からは解放される。
どちらが僕にとってのリアルで、本心ではどちらを望んでいるのだろう。
それすらも判別がし辛くなってしまった。
世界が分かれた。
正解も不正解もない、曖昧と、もうひとつの曖昧との二つに。
しかし実は、僕たち人間が世界を見失ってしまったのではなく、世界の方からついに見放されただけなのかもしれない。
すでに言葉に代える事が困難な浮遊した感覚だけど、いつかこれを小説にしよう。
但し、その時に僕がまだ、世界にしがみつけていたら。