似非エッセイ#17『餃子と元恋人たち』
昨日仕事でチルドの餃子を品出ししていて、ふと気付いたことがあった。
今まで付き合った女性と餃子には妙な縁があるな、と。
シンプルなのでいえば、この世の食べ物の中で一番餃子が好きだという元カノがいた。
また別の元カノは、僕と別れてから餃子のチェーン店で働き出した。
一番印象的なのは、僕が人生で唯一相手の実家まで足を運んだ元カノだ。
確か僕が20歳になったばかりの頃だった。
僕、元カノ、その母親、妹、弟
その五人で餃子を作った。
自他共に認める人見知りの僕が、初対面の相手家族と一緒に、ひたすら具を皮に詰めて並べたあの空間と緊張と、少しの異質さは今もずっと残っている。
味は平凡だった。それもまた良かった。
結婚をする気がない僕は、この先おそらく恋人の実家に行くという機会は限りなく少ないと思う。あれが最初で最後という可能性は大いにあり得る。
そう考えるとやっぱり餃子は僕の人生に何か縁があるように思えてならない。
ところで僕自身はというと、餃子は特別好きでも嫌いでもない。
多分、そんなものなんだろう。