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アジリティとレジリエンスが持続可能性につながる

 ボルドリッジ(ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク)は、米国発の「証明された」経営フレームワークです。ボルドリッジはまた、米国マルコム・ボルドリッジ国家品質賞(MB賞)の「審査基準」であり、それをもとに自己診断・審査を行い、組織の改善点を見つけ、改善します。

 ボルドリッジが大切にする核となる価値観と概念で次に位置するのが俊敏性と回復力です。

俊敏性と回復力(Agility and Resilience)
俊敏性には、急激な変化および柔軟性に対応する能力が必要です。組織の回復力とは、混乱を予測し、それに備え、そこから回復する能力であり、混乱が発生した場合に、働き手と顧客のエンゲージメント、組織のパフォーマンス、および、地域社会の幸福を保護し強化する能力です。
ボルドリッジ核となる価値観と概念より。)

 俊敏性は、以前から核となる価値観と概念に入っていました。2021-2022版より、パンデミックの経験を踏まえて回復力が重要な価値観として加わりました。
 今日の絶え間なく変化するグローバルな競争環境で成功するには、俊敏性と組織的な回復力が必要です。

 まず、俊敏性について観てみます。

 組織は、かつてないほど短いサイクルで、新しい、あるいは、改良された製品やサービスを投入すること、および、新たに発生する問題に迅速に対応することの必要性に直面しています。組織は、リスクを管理し、かつてないほど短いサイクルタイムで変革をもたらす能力を備えている必要があります。
 対応時間を大幅に短縮するには、多くの場合、
・新しい業務システム、
・迅速な意思決定、
・煩雑な役所的手続き(官僚主義)の削減、
・業務プロセスの簡略化、
・サプライヤーやパートナーとの俊敏で効率的なネットワーク、
・働き手やパートナー、サプライヤーとの効果的かつ効率的なコミュニケーション、および、
・あるプロセスまたはある場所から別のプロセスまたは場所への迅速な切り替え能力
が要求されます。

 いまや、時間に関するパフォーマンスのあらゆる側面がより重要になってきており、サイクルタイムは主要なプロセス評価尺度になっています。時間に焦点を合わせることによって、他にも大きな利得を得ることができます。 
 時間的な改善により、業務システム、組織、品質、コスト、サプライネットワーク(訳注:サプライチェーンの拡張)の統合、生産性、および厳しい経済環境における継続的な成功の同時改善や変更を促進します。
 競争上の課題に対処する上での主要な成功要因は、設計から市場投入までの時間(製品やサービスの機能を提供開始するのにかかる時間)すなわちイノベーション・サイクルタイムです。急激に変化する市場の要求を満たすために、組織は、市場調査やコンセプト作りから商品化や実装に至る活動を段階的に統合する必要があります。

 俊敏性は、通常、顧客の要件と、運用効率を向上させ、コストを削減したいという願望によって推進される価値です。付加価値のない活動やタスクを排除することでより迅速に対応する能力を開発している組織は、生産性が向上し、コストが下がり、顧客のロイヤルティが向上していることに気づきます。

 業務プロセスを分析し、改善することで、組織はより良い、より速い、そしてより安価なパフォーマンスを実現できます。
・業務プロセスを改善するには、組織は設計品質の改善と問題の防止に集中する必要があります。問題を防止し、製品やサービスに品質を組み込むためのコストは、後で是正措置を講じるコストよりも大幅に低くなります。
・他の設計プロジェクトからの学習を取り込むことが重要です。
・顧客の嗜好、競合他組織の製品、コストと価格、市場、および研究開発(R&D)に関する情報を使用して、最初からプロセスを最適化し、遅延とやり直しを回避します。

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 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」が、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。英語版とページ、形式を合わせてあり、対訳版としてもご欄いただけます。



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