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コンプライアンス志向を超える

 「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」は特に「業務の有効性と効率性」を基軸にした「内部統制」の有効性を診断する評価基準です。この評価基準を活用した内部統制の仕組みづくりでは、内部統制に関わる組織経営のプロセスを8つの側面(カテゴリ)に分けて、具体的に仕組みに落とし込んでいく方法をとっています。

 内部統制評価基準の8つのカテゴリーの8つ目は
8.法務・コンプライアンス
です。

 コンプライアンスは、内部統制の目的の一つ「関連法規の遵守」に対応するものであり、「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」でも、これまで随所に関係するポイントが提示されてきました。

 まず冒頭のカテゴリー1.顧客・社会との関係維持では、その筆頭に、企業の社会的責任の要素の一つとして「法令順守」を挙げ、その理解・遂行を確認しています。

1.(1)企業の社会的責任の理解・遂行
 企業の社会的責任(法令順守、環境保護、社会貢献、利害関係者への利益配分等)の重要性についての理解は、経営者から従業員に至るまで十分に浸透していますか。

 カテゴリー2.経営資源の確保・維持では、重要な経営資源である、ヒト、すなわち従業員に関して、彼らが働く職場環境について確認しています。

2.(3)職場環境への配慮
 従業員が快適に働けるような職場環境と生活環境(労働条件、オフィスレイアウト、衛生環境等)には常に深い配慮がされていますか。

  この一つのポイントとして、法令に沿った就業環境を前提として挙げています。

 カテゴリー4.経営管理の実践、改善では、経営管理の重要な要素として、コンプライアンスの意識徹底・実行を確認しています。

4.(6)法令順守・誤謬防止の意識徹底
 コンプライアンスや誤謬防止の意識は、経営者から従業員に至るまで徹底し、実行していますか。

 カテゴリー5.知の経営の実現では、従業員の待遇について確認しています。

5.(3)従業員成長のための待遇
  会社は、従業員の給与、福利厚生を優先する主義ですか。

 この一つのポイントとして、給与制度・法定福利制度が法令等を順守していることを挙げています。

 カテゴリー6.情報セキュリティでは、関連するマイナンバー法、個人情報保護法への対応を確認しています。

6.(6)マイナンバー法と個人情報保護法への対応
 マイナンバーの取扱と個人情報・プライバシーへの配慮がより重要となって来ていることを理解していますか。

 このように、コンプライアンスは「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」全般にわたって登場するテーマですが、このカテゴリー8.法務・コンプライアンスでは、これまでに出てこなかったものも含めて、企業組織が順守すべき基本的な法令・規制と、それを順守する仕組みづくりについて確認します。

 組織は、社会的関心事に対して、それらが法律や規制といった形で現在規定されているかどうかに拘わらず、常に敏感でなければなりません。すなわち、コンプライアンスは、法令遵守というだけでなく、社会が懸念事項としていることに関しても、対応が必要となります。
 コンプライアンスに係る問題が生じると、会社の事業に重要な影響を及ぼす可能性があることを十分に理解することが必要です。
 コンプライアンスは、倫理を基本におき、必要に応じてコンプライアンスに関する方針を明示し、行動規範等に反映するとともに、教育・研修を通じて浸透徹底を図ります。

 コンプライアンスはベースであって、コンプライアンス志向を超えることが求められています。ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークでも、基盤としている核となる価値観と概念の一つに社会貢献を挙げています。

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 内部統制評価基準改訂版「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」については、NPO法人内部統制評価機構のウェブサイトをご覧ください。

 ボルドリッジ(ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク)は、米国発の「証明された」経営フレームワークです。
 筆者らが翻訳した、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。

 


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