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活動状況の報告・通報

 「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」は特に「業務の有効性と効率性」を基軸にした「内部統制」の有効性を診断する評価基準です。この評価基準を活用した内部統制の仕組みづくりでは、内部統制に関わる組織経営のプロセスを8つの側面(カテゴリ)に分けて、具体的に仕組みに落とし込んでいく方法をとっています。

 内部統制評価基準の8つのカテゴリーの3つ目は
4.経営管理の実践、改善
です。

 現場の活動状況が経営者・経営幹部に報告される仕組みついて確認します。

4.(4)活動状況の報告・通報
 会社内各部門の活動状況や経営に影響する重要な情報は、会社のルールに従い、遅滞なく会社内組織を通じ、経営者にも報告される仕組となっていますか。

 現場での事故や事業状況の悪化が、経営者や経営幹部など上位に適切に報告されず、経営判断が遅れることで、大事故や大きな損失につながることがあります。

 最近では、仕事で使っている携帯電話の紛失などがお客様情報の漏洩などにつながるケースもあり、身近なところで事故が発生するリスクも増えています。

 こうした事態を避けるために、会社内各部門の活動状況や経営に影響する重要な情報が、遅滞なく経営者に報告される仕組みづくりが重要です。

 たとえ仕組みがあっても、経営者や経営幹部は、階層の壁などにより、必要な情報が自分に報告されていない可能性があることを認識し、定期的に現場チームや従業員などとのコミュニケーションの場を設けるなどして、積極的に現場の状況を把握するように努めることが望まれます。

 コンプライアンスに関わる問題については、内部通報制度を整備します。
 内部通報制度は、企業内部の問題を知る従業員から、経営上のリスクに係る情報をできる限り早期に入手し、情報提供者の保護を徹底しつつ、未然にあるいは早期に問題把握と是正を図る仕組みです。
 通報をしたことを理由に従業員を解雇やその他の不利益取扱いから保護するために、公益通報者保護法が制定されています。

 こうした仕組みや制度を支えるために、何よりも重要なのは、日ごろからオープンなコミュニケーションができる環境づくり、組織風土・文化の醸成です。それは経営者・経営幹部などリーダーの役割になります。

透明性
 透明性は、常に率直でオープンなコミュニケーション、説明責任、およびリーダーシップと経営陣による明確で正確な情報の共有によって特徴付けられます。透明性の便益はさまざまです。透明性は、働き手エンゲージメントの重要な要因であり、なぜこのような行動がとられ、それが貢献になるかを、人々が理解できるようにします。透明性と説明責任は、顧客やその他の利害関係者とのやり取りにおいても重要であり、組織への関与、エンゲージメント、自信を与えます。
ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク「核となる価値観と概念」より。翻訳筆者)

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 内部統制評価基準改訂版「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」については、NPO法人内部統制評価機構のウェブサイトをご覧ください。

 ボルドリッジ(ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク)は、米国発の「証明された」経営フレームワークです。
 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。


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