目指しているのは顧客エンゲージメントです
ボルドリッジの核となる価値観と概念のひとつ「顧客に焦点を当てた卓越性」は、「顧客の声」プロセスを磨き、顧客満足(CS)、顧客ロイヤルティ(CL)、顧客エンゲージメント(CE)へと顧客との関係を深めていきます。
ボルドリッジが目指しているのは、顧客エンゲージメントです。
顧客エンゲージメントは、ボルドリッジの主要用語集で次のように定義されています。顧客満足や顧客ロイヤルティは本文に出てきますが、主要用語集にはありません。
顧客エンゲージメント:
ブランドおよび製品・サービスへの顧客の投資あるいは献身。
(ボルドリッジ主要用語集より。)
ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークに「顧客エンゲージメント」が初めて登場したのは2009年(2009–2010 Criteria for Performance Excellence)。それ以前は、「顧客との関係づくりと顧客満足(Customer Relationships and Satisfaction)」がテーマでした。
テーマに「顧客満足」とはあるものの、そのときにボルドリッジが目指していたのは、顧客ロイヤルティ(CL)でした。
顧客満足・不満足の要因を理解し、顧客の要望やニーズ、期待を把握して活用することで、新たな顧客の取り込み、既存顧客の維持、積極的な紹介、すなわち顧客ロイヤルティを獲得するのです。
顧客満足は組織がコントロールできます。顧客満足は、顧客の期待と結果との差で得られます。顧客満足度を例えば5段階で表すと、次のようになります。
大いに満足 顧客の期待を大きく超えている
満足 顧客の期待を超えている
どちらでもない 期待通り
不満足 顧客の期待を満たしていない
大いに不満 顧客の期待を大きく損ねている
すなわち、顧客の期待を知り、それを超える価値を提供すればよいのです。
顧客満足を追求することで、顧客ロイヤルティや顧客エンゲージメントにつなげます。
顧客満足は目的ではなく、顧客ロイヤルティや顧客エンゲージメントを獲得するための条件です。
顧客満足度調査は、いまも様々行われています。その結果を良くすること、それで競合と比較して優ることも重要です。しかし、それがゴールではないことは注意が必要です。
★★
ボルドリッジ(ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク)は、米国発の「証明された」経営フレームワークです。
筆者らが翻訳した、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。
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