紛争対応
「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」は特に「業務の有効性と効率性」を基軸にした「内部統制」の有効性を診断する評価基準です。この評価基準を活用した内部統制の仕組みづくりでは、内部統制に関わる組織経営のプロセスを8つの側面(カテゴリ)に分けて、具体的に仕組みに落とし込んでいく方法をとっています。
内部統制評価基準の8つのカテゴリーの8つ目は
8.法務・コンプライアンス
です。
クレームや訴訟など紛争が発生した場合の対応について確認します。
8.(4)紛争対応
紛争が発生した場合の対応についてあらかじめ万全な準備がなされていますか。
お客様や取引先からのクレームや契約違反などの訴訟に、適切な対応を行うために、必要な体制を準備します。従業員の不祥事に対する対応も考慮が必要です。
紛争の発生
取引先等との紛争が発生したら、法務担当者(法務部門)に連携を図ります。
紛争の発生を受け、事実関係を迅速に調査する体制を確立します。
交渉段階
交渉段階においては、早期解決すべき事案か、徹底抗戦すべき事案かを適切に選別できることも重要です。ここでは、訴訟等に発展した場合の費用面やレピュテーションリスクなども考慮して判断することも重要です。
このため、交渉段階から必要に応じて弁護士と適切に連携がとれる体制を確立しておくことが望まれます。
こちらに法的に責任がないことが明らかなケースであっても、対応の仕方によっては、それが批判の的となることもあります。特に、相手が一般の消費者の場合には、それがSNSなどで拡散され、メディアでも取り上げられて、イメージダウンにつながることが、しばしば見られるようになってきました。
交渉段階での対応の重要性を理解することが重要です。
訴訟対応
訴訟や調停・仲裁などADR(裁判外紛争解決手続)が提起された場合に、弁護士と適切に連携がとれる体制を確立します。また、経営陣が方針決定を行うにあたり法務部門の意見が適切に反映される体制を確立することも重要です。
顧問弁護士を置くなどの対応がありますが、紛争の内容によっては、できる限り、その分野に精通した弁護士を選任することが大切です。
訴訟や調停・仲裁などADRについては、進捗を適切に管理し、訴訟終了後は、訴訟記録や判決書正本を適切に保存しておくことも重要です。
事後対応(ボルドリッジの観点からの追記)
お客様からの苦情やクレームは、一つひとつに対応することに加え、それを製品・サービスやプロセスの改善につなげる機会ととらえることも重要です。
苦情を収集し、分析し、根本原因を特定することは、苦情の原因を効果的に排除し、プロセスと製品・サービスを改善するための優先順位を設定することにつながります。良い成果をもたらすには、組織全体に情報を効果的に展開することが必要です。
(ボルドリッジ審査基準の解説3.顧客より。)
★★
内部統制評価基準改訂版「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」については、NPO法人内部統制評価機構のウェブサイトをご覧ください。
ボルドリッジ(ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク)は、米国発の「証明された」経営フレームワークです。
筆者らが翻訳した、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。
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