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人財の募集・採用と適正配置

 「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」は特に「業務の有効性と効率性」を基軸にした「内部統制」の有効性を診断する評価基準です。この評価基準を活用した内部統制の仕組みづくりでは、内部統制に関わる組織経営のプロセスを8つの側面(カテゴリ)に分けて、具体的に仕組みに落とし込んでいく方法をとっています。

 内部統制評価基準の8つのカテゴリーの2つ目は
2.経営資源の確保・維持
です。

 ヒト,モノ,カネ,情報の4つが主要な経営資源のうち、まず、ヒトについて見ていきます。

2.(1)人財採用の広報活動等
 会社にとって必要な人財(ヒト)確保のため、求人広報活動(会社の業務案内、業務内容、労働環境、給与水準等の開示)等が、有効且つ適切に市場向けに行われていますか。
2.(4)人財の適正配置
 会社内の各部署への人財配置は、従業員個々の能力、経験、性向を考慮し、さらに業務内容、量との関連においても適切ですか。

 働き手の募集・採用・配置は、人財の現在のニーズばかりでなく、戦略や事業計画に基づいた将来のニーズをもとに行います。
 組織や事業における働き手に対する現在および将来のニーズを、どのような能力レベルの要員が必要か(働き手の熟練度)、どのくらいの人数必要か(働き手の充足度)に分けて検討します。

働き手の熟練度(Capability)
人々の知識、スキル、能力、および強みを通じて業務プロセスを遂行する組織の能力。能力には、顧客との関係を構築し維持する能力、新しい技術への革新と移行、新しい製品や業務プロセスの開発、変化するビジネスへの適合、市場、規制の要求などに対応するための能力が含まれます。
働き手の充足度(Capacity)
季節やその他さまざまな要因で変動する需要レベルに対応する能力を含む、業務プロセスを完了し、製品を顧客に提供するのに十分な人員配置レベルを確保する組織の能力。
ボルドリッジ主要用語集より引用。翻訳筆者)

・スキル不足を補うために、違うスキルをもつ人を追加してしまった
・目標を達成するためには、スキルレベルは問わない(より低いスキルまたは異なるスキルでよい)が多くの人を必要とするプロセスに対して、ニーズを満たすことができる高度なスキルを持つ働き手が少ないと捉えてしまった
など、熟練度と充足度の概念を混同してしまうことがよくあります。

 適切なスキルセットを備えた適切な数の働き手を準備することが重要です。

 変化していく熟練度充足度のニーズに対して備えるには、訓練、教育、頻繁なコミュニケーション、働き手の雇用、キャリアカウンセリング、転職などの仕組みを用意します。

 人財の採用・確保について、考慮すべきポイントは、
・人財対する経営者の方針(人財を大切にする)
・人事採用を主管する社内組織(担当者)
・事業計画に従った採用計画(時期・人数・能力・性格等)
・採用基準(価値観・適性・正社員orパート・報酬・福利厚生等)
・各種労働関連法、個人情報保護法その他各種法律等の遵守
・人財の採用ルート(学校・業者・紹介を含む)
・採用活動への従業員の参画
・人財確保のための広報活動(HPの充実・会社案内・工場案内・会社説明会・インターンシップ・ソーシャルメディアの活用・採用後の教育・研修制度の説明等)
などがあります。

 人財の適正配置について考慮すべきポイントは、
・各ポジションの業務内容・業務量の把握
・各ポジションの業務の具体化(マニュアル化)
・各ポジションに必要な能力や人物像
・各ポジションに必要な能力を身につけるための教育・研修
・ローテーション等配置転換のルール
などがあります。

★★

 内部統制評価基準改訂版「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」については、NPO法人内部統制評価機構のウェブサイトをご覧ください。

 ボルドリッジ(ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク)は、米国発の経営フレームワークです。筆者らが翻訳した、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。


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