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いま取り組むべき重要な問題は(2)

 ボルドリッジ(ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク)は、米国発の「証明された」経営フレームワークです。
 ボルドリッジは、2年ごとに改訂され、時代にあったものに進化しています。最新の2021-2022版では、特に重要なテーマとして、次のことをフレームワークに織り込んでいます。

・イノベーション
・レジリエンス(回復力)
・デジタル経済と第4次産業革命
・サイバーセキュリティ
・社会的責任とグローバルな持続可能性
・多様性、公平性、包括性

 具体的には、例えば、サイバーセキュリティ、社会的責任とグローバルな持続可能性、多様性・公平性・包括性は、2021-2022版ボルドリッジ審査基準で次のように扱っています。

サイバーセキュリティ
 あらゆる種類の企業や組織にとって、データ、情報、業務システムやその他のシステムに対するサイバーリスクの管理と削減が必要になっています。ボルドリッジ審査基準には、重要なインフラストラクチャのサイバーセキュリティを改善するためのNISTのフレームワークの原則が組み込まれています。このフレームワークは、ビジネスドライバーを使用してサイバーセキュリティ活動を導き、リスク管理プロセスにおけるサイバーセキュリティリスクを考慮することに重点を置いています。
 ボルドリッジ審査基準は、以下の点を強調しています。
・新たなセキュリティとサイバーセキュリティの脅威の認識
・サイバーセキュリティにおける従業員、顧客、パートナー、およびサプライヤーの役割
・保護するための情報技術と業務システムを特定し、優先順位を付けることの重要性
・保護、検出、対応、および回復の必須事項

社会的責任とグローバルな持続可能性
 企業の社会的責任の概念が受け入れられるようになるにつれ、パフォーマンスの高い組織は、社会に貢献することを彼らがしなければならないこと以上のものと見なしています。それは、顧客と従業員のエンゲージメントを推進し、市場の差別化要因になる可能性があります。
 ボルドリッジ審査基準は、環境保護への貢献、組織周辺の社会経済システムの支援、主要な地域社会の支援と強化など、戦略と業務運用に社会的な利益を組み込むことに重点を置くことにより、社会的責任とグローバルな持続可能性を促進します。ボルドリッジ審査基準はまた、特に環境管理がますます顧客の要件になりつつあるため、製品やサービスに関連する地域社会の懸念に対処し、関連する法律や規制の遵守を超えることを重要としています。

多様性、公平性、包括性(DEI)
 成功する組織は、人々の多様な背景と特性、知識、スキル、創造性、および動機付けを活用し、すべての人々の公平性と包括性を促進します。その結果、従業員エンゲージメントが向上するだけでなく、顧客エンゲージメント、ロイヤルティ、ブランドイメージも向上します。
 ボルドリッジ審査基準の質問では、次のことを尋ねます。
・従業員が雇用と顧客のコミュニティの多様性をどのように表現するか
・従業員の多様なニーズに合わせて利益とポリシーをどのように調整するか
・リーダーと従業員の業績管理と開発が公平性と包括性をどのように促進するか

 ボルドリッジ・フレームワークを通じて同様に織り込まれている他の重要な問題には、
・ビジネスエコシステムの活用
・企業リスクの管理
・急速な変化の時代における成功に向けた取り組み
・優秀な従業員の雇用と維持
などが含まれます。

★★

 筆者らが翻訳した、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。



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