顧客・社会価値向上のためにイノベーションを起こす
「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」を活用した内部統制の仕組みづくりでは、内部統制に関わる組織経営のプロセスを8つの側面(カテゴリ)に分けて、質問を通じて具体的に仕組みに落とし込んでいきます。
カテゴリー7.環境変化に合わせたイノベーションの実現について見ています。
イノベーションが、顧客や社会に新しい価値を提案するものです。
7.(3)顧客・社会価値向上のためにイノベーションを起こすことの理解
顧客・社会価値の向上のためにイノベーションを起こすことの重要性についての理解は、経営者から従業員に至るまで十分に浸透していますか。
vシュンペーターが「経済発展の理論」で示したイノベーションの領域は次の5つです。
①新しい財貨、すなわち、消費者の間でまだ知られていない財貨、あるいは、新しい品質の財貨
②新しい生産方式
③新しい販路の開拓
④原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得
⑤新しい組織の実現
実際には、これら個別の領域でのみイノベーションを起こすのでなく、複数の領域で並行あるいは複合的に、イノベーションを起こすことが想定されます。
顧客や社会への価値提供という視点からとらえた場合に、イノベーションは「破壊的イノベーション」と「持続的イノベーション」に分類されます。
破壊的イノベーションは、従来製品の価値を破壊するかもしれないが全く新しい価値を生み出すイノベーションと定義され、顧客や社会に今までにない価値を提供する事により、長期的に企業収益を支えるものとなります。
持続的イノベーションは、従来製品の改良を進めるイノベーションと定義され、今の製品・サービスを通して顧客や社会により良い価値を提供することから、短期的な企業収益に貢献するものとなります。
破壊的イノベーションは、クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」において提起されました。持続的イノベーションは、これまでの主要顧客のそれまでの価値基準での進歩であるのに対し、破壊的イノベーションは、従来とは全く異なる価値基準をもたらすものであり、既存のマーケットを根底から変革するものです。
持続的イノベーションは、既存の顧客や商品、生産方式等に対する改善であり、企業において広く普段から積み重ねて実施されているものです。企業の既存の組織や企業文化の中で進めることができ、中堅・中小企業にとっても取り組みやすいものです。
イノベーションは、すべての企業にとって重要です。経営者・経営幹部が、「現状維持こそリスク」という視点を持ち、目の前の販売・生産目標などに目が奪われることなく、現場が、中・長期的なイノベーションに取り組めるようにすることが求められます。
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内部統制評価基準改訂版「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」については、NPO法人内部統制評価機構のウェブサイトをご覧ください。