必要データ・情報の適時収集
「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」は特に「業務の有効性と効率性」を基軸にした「内部統制」の有効性を診断する評価基準です。この評価基準を活用した内部統制の仕組みづくりでは、内部統制に関わる組織経営のプロセスを8つの側面(カテゴリ)に分けて、具体的に仕組みに落とし込んでいく方法をとっています。
内部統制評価基準の8つのカテゴリーの5つ目は
5.知の経営の実現
です。
知のピラミッドの基盤となるデータ・情報について確認します。
5.(6)必要データ・情報の適時収集
会社は経営活動、業務に必要・十分な情報・データ類を適時に収集していますか。
知の経営は、世の中に存在する様々な数多くのデータや情報の中から、必要なデータや情報をいち早く入手し、知識に昇華して、関係者と共有・活用することが重要です。
(経済産業ビジネススクール「二水会」第11講資料より。高梨智弘作成)
経営活動、業務に必要な情報・データ類の収集の重要性について経営者は十分に理解し、経営活動、業務に必要な情報・データ類を明確化し、情報・データごとにその収集を主管する社内組織(担当者)を明確にして、収集します。
経営活動、業務に必要な情報・データ類は、
・経済状況、市場環境、競合企業の状況、関連する法令等の制定・改正の状況等外部環境に関するもの
・自社の財政状態・経営成績、人事関連情報、研究開発活動の状況等内部環境に関するもの
に分けて検討することが有効です。
収集したデータ・情報を、組織の知に昇華し、それを資産として築き活用します。
・働き手の持つ知識を収集して組織の知識とする
・さまざまな情報源のデータを混ぜ合わせ相互に関連付け、新しい知識を構築する
・関連する知識を顧客、サプライヤー、パートナー、および協力者との間でやり取りする
・イノベーションや戦略計画プロセスで使用する関連知識を集めて組織知に変換する
データと情報の源泉が劇的に増大するにつれて、情報の管理にはかなりの経営資源の投入が必要となります。組織の知識ネットワークの一部として、ウェブとソーシャルメディアを通じて、 また、企業間、組織間、および企業と消費者間のコミュニケーションにおいても、組織運営における情報の継続的な増大は、信頼性およびユーザーフレンドリーな形式での利用可能性を確保するための組織の能力を必要としています。動画、文字、数値など、異なる形式のデータを組み合わせて相互に関連付ける能力は、競争上の優位性の機会を提供します。
データと情報は、ビジネスあるいは組織のネットワーク、提携関係、およびサプライネットワークにおいて特に重要です。デジタルデータ転送の頻度と規模、およびサイバーセキュリティの課題を考えると、こうしたデータと情報の使用を考慮して、迅速なデータ検証、信頼性の保証、およびセキュリティの必要性を認識する必要があります。
今日組織が直面している多くの問題の一つは、増え続ける組織の知識を管理し、利用し、評価し、共有する方法です。先行する組織は、組織学習とイノベーションを共に推進する働き手、顧客、サプライヤー、協力者、およびパートナーの知識資産から恩恵を得ています。
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内部統制評価基準改訂版「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」については、NPO法人内部統制評価機構のウェブサイトをご覧ください。
ボルドリッジ(ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク)は、米国発の「証明された」経営フレームワークです。
筆者らが翻訳した、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。