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熟練度(CAPABILITY)と充足度(CAPACITY)

ボルドリッジでは、働き手に関する質問(カテゴリー5)に、WORKFORCE CAPABILITYWORKFORCE CAPACITY が並んで登場します。(主要用語集にも並んで出てきます。)
これを多くのウェブ翻訳では「労働力能力と労働力能力」というふうに同じ訳語が充てられて表示されます。訳し分けが必要ですね。

ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」では、これらに、「働き手の熟練度(WORKFORCE CAPABILITY)」「働き手の充足度(WORKFORCE CAPACITY)」という訳語を充てました。

主要用語集」(16-21ページ)でそれぞれの意味を確認すると
働き手の熟練度(WORKFORCE CAPABILITY)」 組織に属する人々の知識、スキル、才能、および能力(competency)を通じて業務プロセスを遂行する組織の能力
働き手の充足度(WORKFORCE CAPACITY)」 季節やその他さまざまな要因で変動する需要レベルに対応する能力など、業務プロセスを完了し、製品を顧客に提供するのに十分な人員配置レベルを確保する組織の能力

どちらも、働き手の一人ひとりの能力ではなく、組織としての能力を意味していることがわかります。
また、capability は「質的」な性質、capacity は「量的」な性質を示していると言えます。

こうしたことから【日本語版】では、capability に「熟練度」、capacity に「充足度」という訳語を充てました。

ボルドリッジでは、主要用語集が提供され、重要な用語は定義されて使用されます。定義されそれが共有されていれば、その用語を別の言葉に置き換えても問題ありません。
グローバル・クオリティ・フォーラム(GQF)の以前の成果物「マルコム・ボルドリッジ賞審査基準書2011-12年版【対訳版】」(2012年、日本経営品質賞委員会発行)では,それぞれに、「働く人々の業務遂行能力(workforce capability)」、「働く人々の対応能力(workforce capacity)」という訳語を充てていました。原語は同じです。
ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」を読んでいて、わかりにくい言葉があったら、ぜひ後ろにある「主要用語集」(16-21ページ)をチェックしてみてください。

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