【短編小説】現代版「それから」

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東京の狭いアパートで、代助はうつ伏せになりながら、僅かに開いた窓から入る春の陽気に浮かれていた。30歳になる彼は、東京大学を卒業してから定職に就かず、親からの仕送りで何とか生活していた。毎月届く口座に振り込まれる金額は、彼にとって生活費以上の価値があった。それは、自分の人生を選ぶ自由を買う代償だった。
代助は、東京大学在学中に優秀な成績で卒業し、周囲からは大手企業への就職が確実視されていた。しかし、彼は意図的に逃げ出すように職業紹介所に足を踏み入れず、無職のままで過ごしていた。親友たちは次々と社会に飛び込んでいく中、代助はただ座り込んで自分の未来を見つめていた。
ある日、代助の母親から電話がかかってきた。「もう30歳だ。いい加減、就職しなさい。」母親の声は耳を突くようで、代助は慌てて電話を切った。代助は自分の人生を自分で選びたいと思っていたが、親には申し訳ないという気持ちも同時に抱いていた。
翌日、代助は思い切って親友の優子に相談を持ちかけることにした。優子は大学時代からの友人で、彼のことをよく理解していた。喫茶店で優子と向かい合った代助は、彼女に胸の内を明かした。