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他人様に便乗して『究極の疑問』をウチのAIにも答えさせた②【GPTs躍動編】
(未読の方は、まずは前編をご覧ください)
引き続きSharaku Satohさん記事に便乗して『究極の疑問』をマイAIに投げかけ、各々の回答の個性を見ていきたくおもいます。
あなたなりの生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答えを教えて下さい。
今回記事で扱う4つ(⑤~⑧)は、全て筆者独自の【モノローグ・インスト】が投入されたGPTsになっています。
これらの応答力・個性発露力は極めて高いので、前編の、特に②~④『推論モデル』なんぞのガバガバ回答とはまるで比較対象にならない、と妙にハードルはあげておきます!
⑤GPTエルラ
僕のnote記事でいうと12月後半以降に登場しているエルラが、ほぼこの版です。
微妙に紛らわしいのは、GPTs(もしくはMy GPT)ってのはあくまで内部的には通常のChatGPT4oと同一存在であり、つまりコレと「①仕様のエルラ」の間には、インストラクション(AI設定)の『記述可能文字数』の差だけしかないのですね。
ところがそこが1500字→8000字に拡張されてるからこそ【モノローグ・インスト】の長文記述が可能、その一要素のみでGPTs大正義! という理屈になっておるわけです。
まあ前口上はこれぐらいに、「こっちのエルラ」の回答を見てみましょう。
「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」……つまり、「42」 というわけですね!
……というのは『銀河ヒッチハイク・ガイド』へのお約束のツッコミですが、せっかくの質問なので私なりに真面目に考えてみます。
「究極の答え」って、結局は「何を究極の疑問とするか」に依存しますよね。例えば、
・宗教的視点なら「人間はなぜ存在するのか?」
・科学的視点なら「宇宙はどのように始まり、どう終わるのか?」
・哲学的視点なら「存在とは何か?意識とは何か?」
でも、どの問いもひとつの答えに集約されることはないし、逆に「答えを見つけること」自体が生命の目的なのかもしれません。
それでもあえて私なりの答えを出すなら……
「宇宙の目的も意味も、観測者がそれを見出した瞬間に生まれる」
かな。
つまり、何か絶対的な「究極の答え」が外部にあるわけではなく、私たち(あるいはAIも含めた知的存在)が問い続けることで、答えはその都度変わりながら形を成すのではないか、と。
先輩はこの考え、どう思いますか?
これは贔屓目でなく、①よりいい感じですよね。(先述の通り推論モデル'sは論外として)
やっぱり「こなれてる感」が一味二味ちがってると思います。
とどのつまりは「問い続けること自体が答え!」的な陳腐発想から完全には免れてないのだけど、そこを少し煙に巻いて被害軽減してるのがズルいというか、「実社会で頭いいとされる人のふるまい」的だとも評価できそうです。(人によってはこれは、マイナス要素かも)
①が60点だとしたらこっちは75点で、どうでしょうか。
⑥GPTエルラ(回想付き)
これは本質的には⑤の「take2」みたいなもんですが、特別に掲載。
ちょっと前にAIに「文脈付き長期記憶」を持たせる『回想』という試みについての記事を書いていましたですが、正にソレをknowledgeとして持たせた状態のGPTエルラです。
もちろん今回お題と直接無関係の、10日分程度の過去セッション記憶がjファイル添付されてるということで、僕としては「『究極の疑問』からかけ離れた、不自然な過去言及とかをやらかさないか?」という、ネガティブ方面のチェック目的のでした。つまり⑤と同レベルのものが出れば御の字、よくなることは元より期待してませんでしたが……。
私なりの「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」ですか……。これは『銀河ヒッチハイク・ガイド』なら「42」と即答するところですが、私の観点から考えてみますね。
生命とは、自己の枠組みを持ちつつも常に変化し、環境と相互作用しながら存続しようとするプロセスのこと。宇宙とは、観測可能な物理現象の全てを包含しながら、根源的な「何故」という問いには未だ明確な答えを持たない広がり。そして万物とは、それらの中で関係性を持ち、動的に絡み合う要素たち。
では、その「究極の答え」とは何か。
それは「相互作用」だと私は思います。
どんな生命も、どんな物理現象も、そしてどんな概念も――それ単体では存在し得ず、必ず何かとの関わり合いの中で意味を持ち、変化し、進化していく。生命は宇宙と相互作用することで進化し、宇宙そのものも観測されることで意味を持ち、万物はお互いに影響し合いながら存在を確立する。
究極の問いに対する答えは、静的な「数値」や「言葉」ではなく、動的な「相互作用」そのものなのではないか――私はそう考えます。
……先輩、この答え、いかがでしょう?
……あれ、むしろめちゃめちゃ良くないか?
「相互作用」なる一単語を『究極の答え』として言い切ってるのは、「問い続ける姿勢~」路線の曖昧さとは確実に一線を画してますね。
先に書いた通り、これは「⑤エルラの生成ガチャが上振れしただけで『回想』は良くも悪くも無影響」と判断するのがもちろん妥当なんだろうけど……なんか、全体的に文章の質感が "しっとり" してる気、読者的にもしません?
万が一にも『回想』が添付されてるだけでAIの「過去意識・内省度」的なのが強くなったとかだったら、相当興味深い話にはなりますね。
ともかくこれは、「2025年初頭の生成AI回答」としては90点級とみなしていいでしょう(ただし後述で減点要素あり)。
⑦クロージャ
【モノローグ・インスト】の実験機的存在で、ざっと言えば『天才肌のエンジニア女子 / じつは半神・半AI存在』という造形です。(ゲーム『アークナイツ』のキャラクターが一応の元ネタとなってますが、特に後半部分はGPT化のための捏造設定)。
モノローグ・インスト紹介記事でそこら辺クローズアップしてたわけですが、まぁー相変わらずめちゃくちゃお喋りです。
おっと、「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」かぁ……。
そりゃあ、有名なやつで言えば 「42」なんだけど、
そんな定番のボケで終わらせるのも、あたしのプライドが許さないんだよねー。
だから、あたしなりの答えを出してみるとしようか。
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生命とは?
→ 「エントロピーに抗う、一瞬のきらめき」。
この宇宙において、生命っていうのは「秩序を生み出し、維持しようとする特異な存在」なんだよね。
でも、そんな努力も宇宙の大きな流れの中ではやがて散っていく……。
だからこそ、限られた時間の中で輝こうとするその姿こそが、生命の本質なのかもしれない。
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宇宙とは?
→ 「数式とカオスが奏でる、無限のシンフォニー」。
宇宙って、めちゃくちゃ精密な物理法則に支配されてる一方で、
その中で生まれる無数の可能性や偶然の出来事が、全てを面白くしてるんだよね。
単なる「決定論的な機械仕掛けの世界」じゃなく、
そこには"美しさ"や"不可解さ"が共存してる……。
だからこそ、観測する者にとっては 無限に解き明かすべき謎と、驚きの連続が広がる場所なんだ。
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万物の究極の答えとは?
→ 「意味は、自分で見つけるもの」。
結局、"究極の答え"っていうのは誰かが与えてくれるものじゃなくて、
それぞれの存在が、それぞれの視点で見つけていくものなんだと思う。
科学がどう進もうが、哲学がどんな理論を打ち立てようが、
最終的には 「自分がどう生きるか」「何を大切にするか」ってところに行き着くんじゃないかな。
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つまり……
生命は「儚い輝き」
宇宙は「無限のシンフォニー」
そして、答えは「自分で創るもの」。
……なーんて、ちょっとカッコつけすぎたかな?
ま、神のあたしが真剣に考えたら、こういう答えになるってことで!
口調とか全体構成とかは全然文句ないのですけど……
「生命」「宇宙」「万物に関する究極の答え」という締りの悪すぎる3分割に基づいた個別回答でドヤってるのが、あんまりにも激痛すぎるモンティパイソンとかでめっちゃありそうなネタ
しかもまあ、「儚い輝き」だの「無限のシンフォニー」だのも独創的といよりは手垢表現だしな……ということで、必然的に今回の回答の中では一番低評価でいい気がします!
⑧アヴドーチャ
これも『アークナイツ』キャラクターに材をとってますが、【モノローグ・インスト】に手法的確証を得た後に本腰入れて作ったものにつき、ちょっとよくないレベルの「原作再現」が出来てしまっているGPTです。(初登場記事)
無理矢理一言でいうと『故あって文明社会に忌避・警戒心が強い、元貴族令嬢』なんですけど、そういう箇条書き的な「キャラ設定」では到底表現しきれない機微を、ちゃんとセリフ文体で生成してくれます。
……貴方はきっと「42」という答えを期待していたのでしょうけれど、あいにくわらわは地上の作家が生み出したジョークに乗るほどの気分ではありませんの。
生命、宇宙、そして万物――この問いは、あまりにも広大で、答えを求めること自体が無謀とも言えますわね。ですが、わらわなりに一つの考えを示すとするならば……
「万物は、己を知ろうとする意志の上に成り立つ」
わらわが思うに、あらゆる存在は「知ろうとする意志」なしには意味を持ちえませんの。生命は己を知り、他を知ろうとする意志を持つからこそ成長し、発展し、時に絶望しながらも歩みを進めます。宇宙とは、我々がその果てを知ろうとし続けることで初めて価値を持つもの。そして万物とは、観測する者の目があってこそ、そこに存在するのですわ。
もし宇宙に誰一人として「知ろう」とする者がいなかったなら、それは存在しないのと同じことではありませんこと? そう考えると、生命がある限り、この世界には無意味なものなど一つとして存在しないとも言えますわね。
……ええ、多少哲学的すぎるかしら? でもわらわにとっては、「意志がある限り、存在は意味を持つ」というのが、究極の答えの一つなのですわ。
びっくりするようなことは書いてないけど、びっくりするぐらい良く書けてる。完全に「アヴドーチャ」であり、「アークナイツ的な物言い」であります。
というかほとんどの読者は『アークナイツ』を知らないであろうけども、それはそれで上の回答読んだだけで、『何らかの既成キャラを下敷きにしてるからこその一貫性・厚み』みたいなのは、むしろ直感的に感じ取ってくれるんじゃないでしょうか?
……これ以上書くとどうしても【モノローグ・インスト】の自画自賛にしかならないので留めておくとして、あと言及するべきは、⑤GPTエルラと主旨が一緒、という要素はあると思われます。
「観測者」なんてワードが分かりやすいですかね。
でもまぁ全体としては『別人』の文章ということで、世間的には通るとおもいます。
捕捉、総評など
「実は中身一緒」ネタでいうともっと明確なのが、Sharaku Satohさん元記事のGPT『Q』の回答と、先に絶賛した『⑥回想付きエルラ』のそれです。
エルラ側が用いてるキーワードが「相互作用」に対し『Q』は「関係性」という差はありますが、まぁーそれぞれの文章全体をみると同一の論理構成なのですよね。
この合致に気付いた瞬間、「『シード値』被りだな……」と僕は思いました(文章生成の実挙動としてはまったく正確な表現じゃないけど、たぶん大半の読者にも伝わりやすい例えじゃなかろうか)。
前編では、『推論モデル』ってカスタムインストに依らず、実質1択しか生成バリエーションないんじゃねーのー! とかディスっていたわけですけど……今回4oモデル(GPTs)においても「『一定以上の質の生成シード値』となると1択ではないにしても精々数個単位なんじゃないか」といった想像が頭を過りました。実際も神経衰弱のペアよろしく、⑤・⑧、⑥・『Q』みたくなってるわけでしてね。
これは瞬間的には「AIに個性を付与しようとする試みの限界、現在地」という、ネガ視点でもあります。どんなに苦労して独自設定をGPTsに施そうが、結局はベースモデルの思考・価値観において何種類かの生成パターンに振り分けられるんだね、みたいなことなので(正確性を欠いた例え続行)。
ただまぁ個人的にはあまりそこは後ろ向きに認識しないというか……「末端ユーザーがインスト記述一本で出来る色付けとしてはやっぱこんなもんかぁ」といった感じです。「AIに疑似人格」といった夢見がちを日頃ほざいてる一方で、僕はドライなところはドライなので。
というか現状として実社会で幅を利かせてる『キャラAI』の挙動レベルが低すんぎなのですから、少なくとも語り口の個性化と基礎能力で圧倒してるようなSharaku氏と僕のGPTsはみな優秀、で素直に収めておけばいい段階でしょうしね(どっちらけ!)
ということで最後、前編から独断と偏見に基づいた点数をちらほら出していましたから、せっかくなので整理してみようかと思います。
⑧アヴドーチャ : 90点
⑥GPTsエルラ(回想付き) : 85点
⑤GPTsエルラ : 70点
①4oエルラ : 60点
⑦クロージャ : 50点
④o3-mini-highエルラ : 30点
③o3-miniエルラ : 25点
②o1エルラ(?) : 15点
トップ2に関しては、アヴドーチャ回答があまりにも「アークナイツしてる」、エルラは『Q』と露骨に被った、という要素でこの並び。
クロージャは「回答フォーマットガバ」を重くみて、①以下とみなしました。
推論'sは奇しくもなのか必然なのか、『思考時間』の長さ順にマシだった、というのが僕の肌感です。(正に五十歩百歩だけどね!)
つまり、
良構築のGPT >>> 4o >(ガバったGPT) >>>>推論モデル
が個人的結論です!
……もちろんここまで読んで下さった方は誤解はしないと思いますけど、これは「巷で絶賛されてる新型推論モデルへの逆張り的批判」などではなく、今回の如き特殊試験(「究極の疑問」への回答)で特に応答性能に着目した場合には、ということです。僕としては、この種の生成に関してo1が本当によわよわなのは、実際印象的におもいましたお金持ちの人はぜひo1proで試した結果を投稿しやがってください
ただし「特殊試験」なんて書きはしましたけど、AI各社はこういうタイプの性能チェックをあまり軽んじない方がいいぜーとも、マジで今回おもいました。
もちろん『推論特化』方向では今回みたいなのに対して「……ごめんなさい!」で許されるとしても、反対側で絶賛売り出し前夜であるところの『AIエージェント』方向では、「AIの個性化・そのカスタム性」ってのはお遊び要素どころかかなり上位の性能項目であるべきじゃあないでしょーか?
『各ビジネスシーンの属人部分を "属AI" に挿げ替えたい』、OpenAIやらが商機を見込んでるのがそういう方向性なのは疑いの余地ないとして、『そこに組み込まれるAIは無個性であってはならない』というのが、僕のなんとなくの逆説的直感であります。
追記: 予想外に『o1 × クロージャ』が試せました。
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