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タイさんの取材ヨレヨレ日記㉓ バブル直後は怪しい人物がうようよ

私が経済部の記者になったのは1990年です。株価は前年末に最高値をつけた後、下落続き。「地価は下がらない」という不動産神話も、不動産向け融資の総量規制と金利引き上げによって過去のものになりました。バブル崩壊が本格化したのです。

みなさんは、「AIDS(エイズ)」と呼ばれた企業群を覚えているでしょうか?バブルのに踊った代表的な企業、麻布建物(A)、イ・アイ・イ・インターナショナル(I)、第一不動産(D)、秀和(S)のイニシャルを並べたものです。金融機関など取引先に莫大な傷跡を残して、この4社はとっくに破綻しています。

このAIDS以外にも、数多くの「バブル紳士」たちが破産したり、刑事事件に問われたりして、表舞台から姿を消しました。反社会勢力の資金を運用して巨額の損失を出したとうわさされた人物は、バブル直後に行方が分からなくなり、30年以上過ぎた今でも、その生死は不明なままです。闇がとことん深い時代でした。

多額の不良債権が問題になっていた、ある不動産会社に取材しようとした時のことです。電話で取材の依頼をしたところ、相手はしばらく沈黙。その後、妙に押し殺した声で「あんたの自宅の住所を教えてくれ。夜中に説明に行くよ」。

もちろん、この怪しげな不動産会社も、間もなく破綻しました。


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