社長と恋とバターチキンカレー PART②
CEOエッセイ
~淡い恋の思い出編~
うちのCEO、目﨑は文筆業もこなします。(2011年には「幸福途上国ニッポン 新しい国に生まれかわるための提言」(出版社:アスペクト)を上梓)
そんな彼が、社内SNSに投稿したエッセイが、思いの他評判が良く、社外向けにも再掲することにいたしました。
CEOのキャラクター、そのおかげで生まれる自由でフラットな社風が伝わること間違いなし!
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T子の目の前に置かれたバターチキンは、ちょっと黄色掛かったオレンジ色のスープに、骨なしチキンの塊が何個か浮かんでいた。
「これ、食べてみる?」
「あ、ああ、そうね。味見だけするか」
T子のナンを手で少しちぎり、スープのようなソースに浸して口に運んだ。
ちょっぴりスパイスの効いたクリーミーなソースには、ほんのりと酸味ものっていた。明らかに、これまで僕が食べたことのない代物だ。
「美味しいじゃん!」
「でしょ」
完全に勝ち誇った顔で、T子は微笑んだ。
僕の手元にある「なんとかチキン」とは、比べ物にならなかった。
「確かに、バターチキンのほうがいいね。そっちを頼んでおけばよかった・・・」
僕は完敗を認めるしかなかった。
いや、しかし、ちょっと待てよ。
「T子、そういえばお前、たしかベジタリアンだったよね?」
ベジタリアンのレストランを指定されて、T子と一緒に何件か巡ったことを思い出した。
「え・・・、そうね、でも、これは例外。これはいいの」
どうやらT子は、チキンベジタリアンのようだった。
いや、違う。
彼女は、バターチキン・ベジタリアンだった。
つづく