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プレスラインのデントリペア(無塗装の仕上がり)


車のフロントドアの凹みですね。

デントリペア(無塗装の仕上がり)という技法で直します。

凹みの上の部分がふくらんでしまってますね。

そのふくらんだ部分も合わせて6センチの大きさになります。




プレスラインのデントリペアは難しく感じるかもしれませんが、このくらいの角度ですとそんなでもないですね。

プレスラインの角度がもっとキツくなってくると難易度は上がります。



まずは、ツールアクセスの確保ですね。

トリム(内張り)を外してガラスを下げてみます。


ドア裏の上側にはたいてい、このように袋状の補強パネルがあるんですよね。




指先のちょい上に凹みがあります。補強パネルの陰になって凹みは見えませんね。




このような形で押し出そうと思いましたが、凹みの上の方は少しやりにくそうだなと。


リペアの際に邪魔になりそうなのでドアミラーも外してたんですが、そこから凹みを触れることに気づきました。

リペア後に撮った写真


凹みとの距離が最短で力も伝えやすそうなので、ここからのアクセスに決定です。




プレスラインは硬いので、ツールの選択も重要になってきますね。


今回使用したツール




上のロッドの太い先端(フェノール樹脂という材質)からはじめます。

次に真ん中の丸い先端を使用し、最後は下の鋭い先端で仕上げます。



今回のプレスラインのリペア手順。

まずは凹みの中心部をまんべんなく押し出します。

それから回りのふくらみを叩いていきました。

パネルを伸ばしてしまわないようにバランスを見ながら、押し出しつつ高い部分を叩きつつを繰り返します。


まぁ、プレスラインではない平面の凹みのリペアとやってることは変わりませんかね。

一番の違いは硬さなのかなと。

やはりプレスラインなので角の凹みを出すってことですから、平面の凹みと比べてとうぜん押す力がいりますよね。

しかも鋭い突起を出したくないので最初の押し出しは、メタルむき出しではなくプラスチックのキャップやチップを使用します。

硬い部分に広い面の先端で押し出すので余計に力が必要です。



ブレードタイプであればプラスチックのキャップ



ロッドタイプであればメタルのチップにプラスチックのキャップをかぶせたものや、プラスチックそのもののチップ。


右の3つはメタルむき出し




そしてデントライトはプレスラインの面に合わせるように角度を変えながら、さらに仕上げの段階では遠くにセットして凹みを薄く観ます。


ざっくり書くと

凹みにデントライトの光を当ててツールがどこを押し出しているのかを判断するのですが、凹みを支点としたデントライトと眼の角度はだいたい90度くらいからはじめますかね。



この写真↑を撮っているアングルが目線ってことです。

だいたいこの角度からはじまり凹みが徐々に浅くなっていくのと同時に、ライトも目線も凹みを支点にして角度が開いていき最終段階では180度くらいになります。

顔の位置でいえばパネルから20センチくらい離れている状態からはじめて、徐々にパネルに近くなっていき最後にはパネルに付くくらいになるイメージです。

ライトも同じでパネルから20センチくらい離れた状態から徐々にパネルに付くような位置になり、仕上げの段階ではそのパネルに付いている状態からそのまま遠くにセットするような形になります。


ちょっとした凹みや歪みはパネルの正面から観るとわかりづらいですが、横からすかせば観えますよね。

良い仕上がりを目指すには、いかに薄く観て違和感を無くすることが大事です。



完成



今回はツール(鉄の棒)を使用した押し出しでのリペアでしたが、プーリング(グルーでの引き出し)であればどうだったでしょうか?

プーリングはパネルの表面からグルー(接着剤)で引き出すリペア方法で、大きな凹みを引き出して一気に小さくするなどメリットが多いです。

ですが今回のようなプレスラインや、強い芯のある凹みをキッチリと出し切ることは難しいです。


例えば、クォーターパネルにあったプレスラインの凹み


このプレスラインはそんなに角度がついてないので、プーリングでもイケそうかな?と引き出してみました。



タブを変えながら、何度か引いては叩いてを繰り返し。

鈑金塗装なのでこのまま塗装屋さんにパス


なんとかここまで引き出しましたが、強い芯の部分は出し切れません。

ここからデントリペア仕上がりをするのであれば、テールランプを外した穴を利用するなりもしくはクォーターのトリムを外すなりして、パネルの裏からツール(鉄の棒)で凹みの芯を押し出す必要があります。

プーリングでは引き出せない凹みの強い芯も、ツールであればしっかりと押し出すことができます。

硬い部分や凹みの強い芯を出し切れないのがプーリングの苦手なところですね。

このクォーターパネルの凹みはプーリングで9割方は引き出せていますが、今回のドアのプレスラインでしたら3割(たぶん)くらいしか引き出せなかったのではないかと。



今回はドアのプレスラインのデントリペアでした。

このドアのプレスラインの角度や凹み具合ですと、ツールアクセスがしっかりできればそんなに難しくはないです(デントリペアの基本的な技術は必要ですが)

しかしプーリングでは今回のプレスラインの凹みは引き出しきれないと思います。

硬いプレスラインの凹みや強い芯がある凹みなどは、やはりツールで押し出すほうがキレイに直せますね。


以上、ありがとうございました。











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