GPR(グループルリペア)で太刀打ちできず
車の左後ろ、けっこーエグい損傷です。
ランプハウジングの角に、真後ろ〜斜め45度の間くらいからの衝突でしょうか。
後ろからの入力でクォーターパネルの角(コーナーパネルの合わせ目)が内側に食い込んでます。
クォーターパネルの見える部分はその食い込みの影響で丸まっている(折れてるような)状態です。
さらに横(左から右)に10センチくらい入ってますね。
お客さんの希望ではなるべく安く直してほしいとのことで、見える部分は塗装せずにという方向性だったようです。
バラした状態で僕のもとに来ましたが「これはクォーター交換でもいいかも😰(バンパーブラケットが付くややこしい部分も損傷してるし)」とも思いました。
見える部分は塗装せずにとかの問題以前に、ちゃんと鈑金塗装しないと直らないだろうなと。
とりあえずグルーでの粗出しをしてみます。
が、あまり効果的ではなし!
やはりこのランプハウジングがガッチリ入っているとグルーでは厳しいですね。
グルーは諦め、ハンダでガッチリと引き出します。
細かい部分はスタッドを使用しました。
見える部分の歪んだ凹みはグルーで引き出します。
鈑金が終わりバンパーブラケットをつけ、新品のコーナーと中古のバンパーとテールランプをつけての立て付け確認。
なんとかなりました〜😅
部品を外して塗装屋さんにパスします。
塗装したのはこの部分、クォーターの見える面は塗装せずにすみました。
思っていた以上にピッタリと合ったので良かったですが、正確に直すにはやはり計測が重要です。
どのくらい入っているのか把握するために「バランスゲージ」を使用します。
反対側の損傷のない正常な部分と比較することができますので、確認しながら同じ位置まで引き出します。
主なポイントを正確に引き出したあと、バンパーブラケットがつく精緻な形状を復元するために「型取りゲージ」を使用します。
反対側の損傷のない同じ場所の型を取って、それを参考に直していきます。
先ほどは縦でしたが横にも型取ります。
このバンパーブラケットがつく部分を正確に直してあげないと仕上がりに響きますのでとても大事ですね。
少しでも甘いとバンパーをつけたときに、隙間が広すぎるor狭すぎるや面のだんちが出過ぎてるor入りすぎてるとかになってしまいます。
イマイチ合わなくて「むぅ〜」ってならないためにも頑張りどころ(笑)
型取りゲージの針はステンレス製なので、正常な側の計測をするときにマスキングテープなどで保護しないと塗膜に傷をつけてしまいます。
プラスチック製の型取りゲージもあり傷をつけるリスクは減りますが、ステンレス製に比べると精度が落ちますね。
ただ、このステンレス製の型取りゲージ(大)は、まぁまぁ重いので手から滑らせて落としたら針が曲がって終了しそうな気がしてます😅
四角い穴のリペアは先が細いスライドハンマーやスタッドで鈑金。
そして穴を平らにするのはホールストレーナーというツールを使っています。
穴に先端を入れ、レバーを引くとパネルを挟む構造になっています。
ちなみにロボミニリフターのメインの使い方はコレ。
両足でパネルを押さえつけてタブを引っ張ります。
ロボミニリフターのアダプターを付け替えることで、穴のリペアも可能という便利なツールですね。
ついでに、さらに違うアダプターをつけることでこんな使い方もできます。
はい、話を戻して
クォーターの見える部分の折れは叩いてならします。
使用した叩きのツール。
上から
ポンチ
ブレンディングハンマー(レザーチップ)
ブレンディングハンマー(メタルチップ)
KECO クラウンスラッパー
この中ではスラッパーが少し独特なツールかなと思います。
広い範囲の折れを大きい面で叩きならすためのツールです。
パネルにスラッパーを当てて、その上からハンマーで叩きます。
広い範囲の折れにいきなりハンマーで叩くと打痕がついてしまうので、なるべく大きい面のモノで叩きならして行きます。
なので使用する順番は
1 スラッパー
2 ブレンディングハンマー(レザーチップ)
3 ブレンディングハンマー(メタルチップ)
4 ポンチ
大まかな順番はこの通りですが、叩いていくうちに凸の状況は変わってくるので順番は入り乱れますけどね。
この赤いスラッパーはこんな感じで柔軟性がありますので逆アールでも使えます。
硬くてほとんど曲がらない青いスラッパーもありますよ。
いや、いずれ直ってホッとしました。
正直、厳しいなと思ってましたので。
厳密にいえば、クォーターがすこ〜し腫れぼったい感はありますが気にならないレベルだと思いますので見逃してください😅
以上、ありがとうございました。