家庭医療学修士課程の修了
診療を幅広い視点で捉え直す修士課程
Term 4を紹介してから慌ただしく、なかなか進捗について書くことができていなかった。その後、Maternal and Child Health、Patients with Complex Needs、Methodologies to Improve Family Medicineなどを学び、2023年10月にMaster of Family Medicine (with Merit)の学位を授かることができた。
家庭医療学修士の課程は、自分の診療をもう一度広い視点で捉え直す機会だった。例えば、以下のようなことについてより自覚的になる機会だったように思う。
自分は患者や自分が置かれているコンテクストを十分に意識できているか
自分とはどのような存在なのか
自分は何から影響を受けているか
ケアとは何をしているのか
何をすることが患者にとって意味のあることなのか
それは自分の考えと一致しているか
一致していない場合はどのようにケアのやり方を選択するべきなのか
病いの意味の共同編纂
「診断と治療」という生物医学的な視点では有効なケアが提供できない場合、そうした場合は家庭医療の診療現場では少なくないのだが、そこで家庭医にできることは何なのか。その一つに、病いの意味を患者とともに共同編纂していくことがあげられる。ここには、人とはどのような存在なのか、という人文社会科学的な視点を経て辿り着くことになる。以下、Iona Heathの論考はかなり前に書かれたものだが、多くの視点を与えてくれる。
そして、こうした作業を行う上で重要なのが、質的研究のような質問の仕方、ナラティブ・アプローチそのもの、というように今考えている。これらについては、Oxford Universityの短期質的研究学習コースや、John LaunerのConversations Inviting Changeを通して学んでいく予定だ。また進捗をご報告したい。
Details of KnowledgeからDepth of Knowledgeへ
臨床ではdetailがdepthに優先されることがある。例えば、検査で異常がない症状における診断の追求、医療化(medicalisation)、多疾病罹患などの領域で、detailとdepthの違いが問われることが少なくない。
旅は続く。
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