Applied Principles of Family Medicine
このモジュールの焦点
このモジュールのテーマは、「エビデンスを評価すること、それを臨床に適用すること」だと思うが、これは単に「質の高い研究結果を患者さんにとにかく適用するようにどうにかこうにか対応する」ということを意味しない。論文のinternal validityを評価する視点、external validityを評価する視点はもちろん重要であるが、それを実際のpracticeに反映させる際のpatient-centrednessやshared decision makingという考え方が大きなポイントになってくる。Assignmentではここのあたりを詳細に記述することになる。
Sackett, D. L., Rosenberg, W. M., Gray, J. A., Haynes, R. B., & Richardson, W. S. (1996). Evidence based medicine: what it is and what it isn't. BMJ (Clinical research ed.), 312(7023), 71–72. https://doi.org/10.1136/bmj.312.7023.71
さて、EBMの父とも言われるSackett (1996, pp. 71-72)の有名な言葉は、この部分だけ切り取られて使われることがある。
'Evidence based medicine is the conscientious, explicit, and judicious use of current best evidence in making decisions about the care of individual patients.'
しかし、実際は続きがある。その中でもこの部分に注目したい。
'Increased expertise is reflected in many ways, but especially in more effective and efficient diagnosis and in the more thoughtful identification and compassionate use of individual patients' predicaments, rights, and preferences in making clinical decisions about their care.'
このように、Sackett は'patients' predicaments, rights, and preferences'といった側面をdecision makingに取り入れることの重要性を説いている。また、その際にpatient-centred clinical reserchがエビデンスとしてさらに重要になってくる点についても言及している。
'By best available external clinical evidence we mean clinically relevant research, often from the basic sciences of medicine, but especially from patient centred clinical research into the accuracy and precision of diagnostic tests (including the clinical examination), the power of prognostic markers, and the efficacy and safety of therapeutic, rehabilitative, and preventive regimens.'
まだ量的研究をかじっているような段階だが、いずれそういう研究をしていきたいものだ。しっかりとした芯をもちながら学んでいきたい。
このモジュールで勉強になった文献
いろいろ課題をこなさないといけないので、いくつも文献を読んだ。特に印象に残ったものをご紹介したい。
Greenhalgh, T. (2019). How to Read a Paper : The Basics of Evidence-Based Medicine and Healthcare, John Wiley & Sons.
これはかの有名なGreehalgh先生が書かれている「エビデンスの読み方と適用の仕方」の本である。研究手法などの細かいことは書かれていないが、適用の仕方を考えていく上で有益な示唆やガイドを与えてくれる書籍のように思う。訳本も出ている。
Elwyn, G., Durand, M. A., Song, J., Aarts, J., Barr, P. J., Berger, Z., Cochran, N., Frosch, D., Galasiński, D., Gulbrandsen, P., Han, P., Härter, M., Kinnersley, P., Lloyd, A., Mishra, M., Perestelo-Perez, L., Scholl, I., Tomori, K., Trevena, L., Witteman, H. O., … Van der Weijden, T. (2017). A three-talk model for shared decision making: multistage consultation process. BMJ (Clinical research ed.), 359, j4891. https://doi.org/10.1136/bmj.j4891
これはshared decision makingのためのthree talk modelというものについて紹介している。コンセプト自体はそう真新しいものではないのだが、人に概念を伝える際の教育的資料として重宝するように感じた。以下のようなもので、極めてシンプルである。
これはCASP appraisal toolというもので、論文をappraisalするときに使えるチェックリストである。どういうポイントを読めばいいのかのガイドになるので、これも教育的な場面で利用しやすいツールのように思う。
Assignmentに追われ、このように開かれた記録に残すエネルギーがなかなか残らないのだが、引き続き学びのエッセンスをシェアしていけたらと思う。