Principle 6: 患者と同じ地域に暮らす
Principle 6
家庭医は患者と同じ地域で生活することが望ましい。患者に起こっている様々な環境的変化に気づくことができるからである。
McWhinney, I. and Freeman, T., 2016. Mcwhinney's Textbook Of Family Medicine. Oxford: Oxford University Press.
書の中では地域に起こっている土壌汚染の問題とこれに由来する住民の健康問題を、家庭環境を知らないまま診療していた医師が気づくことができなかったという例を挙げている。しかし、これは在宅医療などで患家を訪れていればクリアできると思われるので、この切り口だけではこのprincipleの必要性の説明としては十分とは言えないように思う。
個人的経験からは、その地域に入り、地域の文化の中で過ごすことで初めて生まれてくる地域コミュニティの人々との連帯、初めて分かってくる土地の情報などが得られることが、家庭医の診療を一層豊かにするということは言えそうに思う。患者医師関係は個人対個人の関係性であるが、その土台には共通の文化や習慣を共有しているという集団を介した関係性があるように思う。この土台がしっかりしている方が、患者医師関係を強固にしていく作業が進みやすいのではなかろうか。