Professionalism in Family Practice
このnoteではterm3で学んだことを概観する。
プロフェッショナリズムとは
Term3はプロフェッショナリズムについて学んだ。このtermは以下の書籍が参考文献に指定されていた。訳本が出ているのでそちらを案内する。
この書籍では、プロフェッショナリズムを行動やシステムに着目して記述している。それによると、プロフェッショナリズムは下記のようなものとなっている。
"1. Professionalism is demonstrated through a set of behaviors that can be observed;
2. The behaviors can be observed in four key domains:
・the interaction between clinicians and patients/families;
・the interaction among team members;
・the practice settings (i.e., hospital, outpatient clinics, healthcare systems);
・the professional organizations and external environment influencing care." (Levinston et al., 2014)
Reference:
Levinson W, Ginsburg S, Hafferty FW, Lucey CR (2014) In: eds. Understanding Medical Professionalism . Pages 1 – 4 of Chapter One of A Practical Approach to "Professionalism" New York, NY: McGraw-Hill
つまり、プロフェッショナリズムというのは、医師の場合、医師と患者の間にだけあるものではなく、活動場所、組織、同僚、外部関係者など、様々な人との間に行われる行動の中に現れるものということになる。
このtermでカバーしたトピック
このtermでカバーしたトピックは以下だ。家庭医としてどうやって活動していくか、というノンテクニカルスキル全般について学ぶような形だった。
・Professionalism
・Time Management
・Ethics
・Role modeling/Mentorship
・Critical Reflection
・Self Care/ Regeneration
・Learning Needs and Lifelong Learning
・Teamwork/Conflict Resolution
Time Management
Time managementではEisenhower matrixを扱った。
家庭医はマルチタスクの中で効率的、効果的に活動しなければならない。全体を把握しながら、委譲などを適切に使いながらタスクを処理していく必要がある。ここにはteamworkも影響してくる。
Ethics
日本の家庭医はいわゆる臨床倫理四分割法で知られるJonsen's Four Topics Approachがよく知られているように思う。
ただ、このmoduleではFamily Medicine Ethicsという方法も学んだ。そもそも、ethicsにはnarrative ethicsとかvirtue ethicsとかいろいろな理論的枠組みがあることを初めて知った。この概要は以下の論文にまとまっている。
このfamily medicine ethicsというのが、ほとんどどんな行為にも当てはめることができるようになっているのが良いところかと思う。一方、終末期ケアなどがテーマのときはJonsen's Four Topics Approachの方が詳細に検討できるため、役立つフレームワークであるように感じた。実際、ethicsについてのassignmnetではこのJonsen's Four Topics Approachを使って終末期の事例について書いたのだが、採点官からも「適切なフレームワークを選択している」とフィードバックをもらった。
Role Modeling/Mentorship
このmoduleでは、実際自分が誰かのメンターになるとしたら何ができるだろう、ということを改めて考えた。学び続けている身としてはいつまでも誰かをロールモデルとして考えながら学んでいるものの、自分自身も誰かのロールモデルになりうるということを改めて考えるきっかけになった。以下の論文もそうしたことを考えるのに役立つ。
Critical Reflection
ここでは改めてreflectionについて学んだ。Assignmentでは自分のreflectionの仕方をreflectionするというメタ認知的なテーマを深掘りした。ReflectionそのものはThe University of Edinburghのリンクが端的にまとまっていておすすめである。
書籍だと以下が読みやすかった。
Self Care/Regeneration
自分がバーンアウトせず良い状態で活動できるようにすることに関連する用語として"flourish"という言葉を学んだ。ただ疲れないようにするというマイナスを減らす活動だけではなく、精神的に充実するためにどのような活動をしていけば良いのか、というポジティブを増やす活動についても意識するきっかけとなった。以下の書籍が参考文献として紹介されていた。
Learning Needs and Lifelong Learning
ここではcontinuing professional developmentについて改めて考えた。特に家庭医は診療部分のみ考えれば良いわけではなく、チームマネジメントや交渉などのノンテクニカルスキルが、高いパフォーマンスを発揮するためには欠かせない。そうしたことを改めて考えるきっかけとなった。以下の文献も役に立つ。
Teamwork/Conflict Resolution
このmoduleはなかなか難解な文献が読書課題にあったが、様々な場所でおきるコンフリクトについてどのように対処するか、建設的なコンフリクトをどのように活用するかについて考えるきっかけとなった。また、健全なコンフリクトが起きるためには職場に心理的安全が必要であるが、そのことについては以下の本が詳しい。
総括
これでMaster of Family Medicine Programmeの最初の一年が終わった。序盤のessayではギリギリ合格というラインで先が思いやられたが、徐々にacademic writingにも適応していくことができ、最後のtermではdistinction lineに乗るくらいまでscoreを伸ばすことができた。とりあえず落第の心配はせず次の年次に進めそうである。
診療面では、家庭医療はノンテクニカルスキルが如実にパフォーマンスの違いに出てくる実感があり、診療に非常に良い影響が出ているように思う。特に、文化やセッティングが違う家庭医たちとディスカッションを通して学ぶことは、書籍からは学べないようなtacit knowledgeを得ることができ、ここにcommunity of practiceの意義の大きさを改めて感じた。
Academicな活動としては、この一年でacademic writingを鍛えることができたこともあり、2021年になってからoriginal research 1本(JGFM)、letter 7本(JGFM3、GGI1、Family Practice2、BJGP1)をpublishすることができた。引き続きacademic GPとして活動できるように頑張っていきたい。