多角的な大規模改修に並走するデザイン【スプリームシステム株式会社 × Goodpatch Anywhere】
フルリモートデザインチームのGoodpatch Anywhere(以下、Anywhere)は、2021年9月より、「aimstar」のUIリニューアル業務に並走しました。20年以上デジタルマーケティングに携わってきたスプリームシステムでは、事業戦略の刷新に伴い、aimstarを大規模改修する計画が立ち上がりました。Anywhereは、プロダクトのUX調査・改善をはじめ、デザインシステムの製作、開発サポートといった多方面から支援を行いました。
UXを見据えてデザインに落とし込むために
——どのような経緯で、aimstarの改修がスタートしたのですか?
スプリームシステム株式会社 執行役員 CPO・青木さま:
2021年の夏に、事業戦略を刷新しました。aimstarというサービスは、スプリームシステムと同じぐらいの歴史があり、20年近く開発し続けているプロダクトです。これまではパッケージ型での提供を続けてきたのですが、より多くのお客様へ継続的に進化するサービスをお届けできるよう、SaaS型での提供を主軸に大きく方針を切り替えました。
SaaS化にあたり、まず取りかかった必要なポイントは二つでした。一点は、UIデザインそのものをモダンなものに生まれ変わらせること。もう一点は、プロダクトのアーキテクチャとしてフロントエンドとバックエンドを分離させること。全面的な作り直しですね。
——かなり大規模な改修ですよね。こうした取り組みを開始する際に、Anywhereへお声がけいただいた経緯を教えてください
青木さま:
難しいプロダクトのデザインを、UXを見据えながらゼロから一緒に作っていく必要がありました。Goodpatchさんなら、この点においてトップクオリティーを出せるだろうと思いました。
——ありがとうございます。そのご期待には応えられましたか?
青木さま:
そうですね、作り込みのクオリティの高さを実感しています。
スプリームシステム株式会社 開発担当・戸部さま:
改修前のaimstarはプロダクトとしての統一感があまりなかったのですが、UIが変わって、すごくスッキリしたなと。よかったと思います。
正直……間に合うのかな……
——プロジェクト進行中、内心で不安に思っていたことはありましたか?
青木さま:
事業計画の都合で、かなりタイトなスケジュールになったのですが、もし条件が許すならば、半年から一年ほどかけて、じっくりと検討してもよかったな、と思っています。こういう取り組みは初めてだったので、一ヵ月しっかりかけてプロダクトの意義や世界観について整理してくれているのを見て、正直……間に合うのかな……と思った瞬間もありました。でも、今思えば、あれはすごくやってよかったと思っています。
Anywhere UXデザイナー・加藤:
UXからUIデザインにつなげていく部分は、具体的な表層のデザインができていく手前のプロセスなので、スケジュールに余裕がない場合は特にもどかしい時間でもありますよね。
今回、複雑なサービスだったのでUXの整理も大規模な内容になりましたが、青木さんをはじめとして、aimstarチームの皆さんのレスポンスが非常に速かったので助かりました。開発が待っているスケジュールのなかで、無駄なく進められたと思っています。そして、プロダクトの思想がしっかりあったので、一緒にやっていて非常に楽しかったです。
スプリームシステム株式会社 開発担当・戸部さま:
以前のやり方だと、機能ベースで話が始まっちゃうところがありましたからね。でも今回のプロジェクトを通して、「とりあえず機能を作る」ことよりも「その機能がどうあるべきか」をまず可視化する、それから作り始めよう、というプロセスを踏むようになった。社内でも、Figmaを使って整理するなど、やり方が変わってきています。
Anywhere エンジニア・大畠:
プロジェクト進行について、個人的に印象に残っているのは、旧aimstarの開発に携わっていたエンジニアさんがジョインされたタイミングで、開発速度が大きく上がったことです。かなり難しい画面実装なのにどんどん作っていくんです。仕様への理解が深く、手が早く、素晴らしい方でした。同じプロダクトにずっと携わっていることの強みを感じました。
多機能かつ多様なユーザーを持つサービスの改修
——課題を解決するために工夫したことを教えてください
Anywhere UXデザイナー・加藤:
aimstarは、他サービスと比較しても明らかにできることが多いんです。そして、エンジニアに近い人からマーケターまで、さまざまなユーザーが利用されている。だから、UXとしては、豊富な機能と多岐にわたるユーザー像に応えるため、グローバルナビゲーションから個々の目的が自然に達成されるための導線設計には特に注力しました。
スプリームシステム株式会社 開発担当・戸部さま:
そうですね、グローバルナビゲーションが変わってから、機能がわかりやすくなったと思います。ナビゲーションから一段開いても、1ページでおさまるので、デモンストレーションの際にも「何ができるか」の機能紹介がしやすくなりました。
Anywhere エンジニア・大畠:
役割を決めつけすぎないように意識しました。
フロントエンド開発に馴染みがないメンバーが多くいた印象なので、実装アドバイスやレビュー、設計にも初期から口を挟ませていただきました。けっこう偉そうなことを言ってしまった気がするのですが、受け入れていただいた。
スプリームシステム株式会社 開発担当・戸部さま:
フロントエンドの開発知見が豊富じゃなかったので、助かりました。フロントエンドとバックエンドの切り離しから始まっているので、チームを作りながら開発の準備をする、という状態だったのですが、初期の立ち上げの段階でアドバイスがあったのでよかったです。
Anywhere UIデザイナー・ハマダ:
UIデザインとしては、何も知らない人が自然に使えるかな、という視点を基本におきつつ、習熟度の高い人も便利さを感じられるようなものにしよう、という意識で作業していました。また、エンジニアの大畠が序盤からいてくれたので、いかに実装しやすくできるか、接続がいいかをヒアリングしながら作ることができたと思います。
プロダクトだけでも、人だけでもないClient Growth First
——リニューアル後の反応はいかがですか?
スプリームシステム株式会社 開発担当・戸部さま:
以前のUIについて、あるお客さまから「昭和みたいだね」と言われたことがありました。改修後は、「モダンになった」と言ってもらえることが増えて、端的に印象として変わったなと思っています。また、操作性が上がったので、営業をする際のデモンストレーションをしやすくなりました。機能が多いのでまだまだ難易度は高いサービスですが、新しいお客さまは、自分たちで簡単に設定をすることができるようになってきています。
スプリームシステム株式会社 執行役員 CPO・青木さま::
2022年の10月から、経営が新体制になり、組織も生まれ変わりました。コーポレートのミッションは「Client Growth First」。スプリームシステムには、プロダクトとカスタマーサクセスのプロフェッショナルが揃っています。だから、プロダクトだけでもなく、人的支援だけでもない、両面を合わせた貢献をしていきたい。これからは、そんな観点から、柔軟に解決策を模索していけると思っています。
——今後の展開について教えてください
青木さま:
aimstarのSaaS版が今年の夏頃から本格的に利用されはじめました。早速大きな導入効果をあげていただいているお客様もいらっしゃり、一安心しているところです。とはいえ、まだまだやるべきことはたくさんあり、一つずつ改善を進めていく予定です。
技術的な面でいえば、フロントエンドとバックエンドの分離に続けて、バックエンド側のリファクタリングを進めていく予定です。今後SaaSとしてさらなる進化を加速させるためにも、レガシーを解消しつつ、マイクロサービス化など、SaaSに適したアーキテクチャに生まれ変わらせていこうというのが、開発チームの目標です。
機能的な側面だと、最低限必要なものは揃ったという状況ですが、ここからはaimstarとしての「強み」を更に磨きたいと考えています。たとえば、機械学習の手法を使った施策の自動化・最適化や、よりリアルタイムにお客様へアプローチし、エンゲージメントと高める仕組みの実装などです。あわせて、ユーザーが日々行う業務がより少ない手間で回せるようなUX改善など、クライアント目線での改善も進めていきます。aimstarは、「エンゲージメントデータプラットフォーム」。クライアントのサービスを気に入ってくれた人お客様が、ずっと好きでいてくれるように、お客様との関係性を強めていくためのツールです。そのために、目に見えるところも、見えないところも、多方面から改善を続けていきます。
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