白いパンの真実(短編小説)
「アンパンと食パンとカレーパン。1番人の話をよく聞くのはなーんだ?」
今日は雨で、外出は面倒だからおうちデートがいいと言ってきたのは彼女の方なのに、飽きた。などと抜かし出した。
それならナゾナゾでもする? そう提案してナゾナゾのアプリをインストールしたその1問目。
そこで彼女は早々に躓いた。
「パンは人の言葉理解しないよ」
「ナゾナゾだーっつてんやん」
負けず嫌いな彼女は、そうやって問題自体に茶々を入れつつ時間を稼いでいるのだろう。
とはいえ10分は経過した。俺が飽きるわ。
「ちょっと待ってわかんない。アニメは全員言うこと聞くよ。カレーは気性荒めだけど。あ、カレー?」
「そんな曖昧な答えあるかい」
「ねーヒントヒント」
俺はこのナゾナゾを結構有名なやつだと思っていたが、初耳の人には難問なのだろうか。
「ヒントねー。じゃあ話聞くときは何で聞く?」
彼女はあからさまに大きくため息をついた。
「それヒントじゃないよー。もう答えみたいなもんじゃーん」
「お前がアホやから」
「違う。お前がヒント出すのヘタやから。食パンだけミミがあるってことねー」
つまらなさそうに答え合わせした彼女は、ふとこんなことを言い出した。
「でも、話聞けるくせに食パンがたぶん1番聞き流しそうだよね」
「なんで?」
「1番薄情そうだから」
「いや、だからなんで?」
「食パンだけ中身ないもん」
「_____急に上手いこと言うやんけ」
「お前は食パンだ!」
「だまれ」
そのあと2人で流行りの高級食パンを買いに行って、中身がなくても美味しいね。なんて笑った。
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